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前立腺の病気について - 前立腺がんの検査・診断、治療 病気を知ろう 医療特集 - メディカルiタウン


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医療特集

前立腺の病気について - 前立腺がんの検査・診断、治療

更新日:2017/03/06

日本人の高齢化に伴って、男性では前立腺の病気(前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎など)が増加しています。

前立腺がんを中心に、前立腺の主な病気について伺いました。

NTT東日本関東病院 泌尿器科 部長 志賀 淑之

お話を伺った先生:

前立腺とは

前立腺は、男性特有の生殖器官で膀胱の下側にあります。膀胱から続く尿道や射精管を取り囲んでいる、クルミくらいの大きさでおよそ15gの臓器です。精液の一部を構成し、精子を保護して運搬するための成分である前立腺液を分泌しており(量的には精液の約3分の1の量)、排尿機能にも関わっています。

図1 前立腺の位置(断面図:正面)

図1 前立腺の位置(断面図:正面)

前立腺がん

日本では近年、前立腺がんの患者さんが増加しています。国立がん研究センターが発表しているがんの統計予測[出典 ※1]では、2016年の罹患数は約9万2600人と予測。男性では2014年の予測で1位、2位であった胃がん、肺がんを上回り、2015年の予測から前立腺がんが1位となっています。

前立腺がんが日本人男性のがんの中でも増加している最大の理由は、高齢化だとされています。またPSA検査が普及し、早期診断につながっていることもあげられます。

前立腺がんの症状

前立腺がんは、初期にはほとんど自覚症状がありません。このため、前立腺がんが見つかるきっかけは、健康診断やがん検診などで行われるPSA検査(詳しくは後述します)だったということが多いようです。

PSA検査の機会がなかったなど、前立腺がんが初期に見つからずに局所で大きくなると、尿道が圧迫されて頻尿、排尿障害、残尿感、尿失禁などが生じてきます。さらにがんが膀胱・尿道へと広がると、尿や精液に血が混じることがあり、直腸にまで広がると便秘などが起こることもあります。

ただし、これらの症状はほかの前立腺の病気でもみられますので注意が必要です。

図2 前立腺周辺の臓器(断面図:側面)

図2 前立腺周辺の臓器(断面図:側面)

前立腺は膀胱の下に位置し直腸にも近いため、前立腺の病気が進行すると周囲に症状が現れます。

前立腺がんの検査・診断

PSA検査

PSA(前立腺特異抗原(prostate specific antigen)の略)は、前立腺で特異的につくられるタンパク質の一種です。前立腺に病気があると血液中のPSA濃度が上昇します。日本泌尿器科学会の診療ガイドラインでは、年齢階層別PSA基準値として、50~64歳は0.0~3.0ng/mL、65~69歳は0.0~3.5ng/mL、70歳以上は0.0~4.0ng/mLとされています。

志賀先生は「PSA値が4.0ng/mL未満でも、10~20%は前立腺のがんと診断されています。正常値は、50~60歳までは2.0ng/mL未満、65~70歳は2.5~3.0ng/mL未満、その後は5歳きざみで0.5ずつ上昇すると考えてください」と語ります。

PSAは前立腺特異抗原と言う通り、PSA値は前立腺の病気でしか上がりません。PSA値が高くなるものには前立腺がんのほかに、後述する前立腺肥大症や前立腺炎があります。ただし、前立腺肥大症では、尿が出にくい、頻尿、残尿感といった症状があり、前立腺炎では、38℃以上の発熱や尿の濁り、排尿時の痛みなどの症状がみられます。

「PSA値が高いのに全く自覚症状がないという場合は、早期の前立腺がんが強く疑われます。検査でPSA値が高いとわかったら、気になる症状がないからと先延ばしにせず、速やかに精密検査を受けてください」(志賀先生)

前立腺がんの確定診断

PSA検査でのスクリーニング(ふるいわけ)によってPSAの値が基準値よりも高かった場合には、直腸診、MRI検査、超音波検査などの精密検査が行われます。

また、これらによってがんが疑われる場合には、前立腺の組織を調べるために針生検という検査を行います。これは、超音波画像を見ながら針を前立腺に刺して組織を採取し、がんの有無を見るものです。

針生検の結果によって、はじめて前立腺がんとの診断を行います。NTT東日本関東病院では、2016年に323件の生検を実施していますが、前立腺のがんだと診断された人は30~40%程度(※2)とのことです。

※2 あくまでも同院で生検を受けられた方の割合であり、一般的な割合とは異なります。

前立腺がんのリスク

前立腺がんの好発年齢は65歳以上ですが、40代後半から50歳前後の若年の方にもまれにみられます。生活面では、肉食・高脂肪食といった食生活の欧米化との関係や喫煙のリスクが指摘されています。

遺伝的要因

また、前立腺がんの発症リスクとして、遺伝的要因が知られています。

「二親等以内(父、祖父、兄弟)に前立腺がんを発症した家族歴がある人は発症リスクが高いと考えられます。40代から1年に1度のPSA検査を受けることをお勧めします」(志賀先生)

健康保険や行政で行うPSA検査の補助対象になるのは、50歳もしくは55歳以上が一般的ですが、健診(血液検査)のオプションとして1,500~2,000円程度の自己負担で受けられるケースもあるようですので是非確認してみてください。

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療には、手術療法、放射線療法、ホルモン療法の大きく3つがあり、年齢や患者さんの状態、進行度や悪性度によって、最適な治療方法を決定します。

待機経過観察療法

悪性度が低くかつ小さながんである場合には、待機経過観察療法といってあえて積極的な治療をしないことがあります。高齢者の場合は治療そのものが負担になることもあるからです。この場合は、およそ3~4カ月に1回PSA検査を行い経過をみていきます。PSA値の上昇がみられたときに改めて検査を行い、その結果に基づいて手術などの治療を選択します。

手術療法

おおむね75歳までで、前立腺にとどまっていて転移のない早期がんであれば、前立腺を全て摘出する手術で根治が期待できます。

前立腺の全摘手術では、括約筋や条件があえば勃起神経を残しながら前立腺をすべて切除します。前立腺を全摘しても生命維持には問題がなく、生殖機能にも影響がありません。ただし、膀胱と尿道をつないでいる括約筋というところで尿道を支えることになり、前立腺を取り囲む勃起神経や勃起のための血管も切ってしまうと、手術の後遺症として排尿障害や勃起不全などが残ることもあります。

前立腺の手術療法には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。

腹腔鏡下手術は、腹部に5カ所ほど穴を開けて炭酸ガスで腹部を膨らませ、その穴からすべての器具を入れて操作するものです。開腹手術に比べて傷が小さくて済み、出血量も少なく、回復が早いという利点があります。

手術支援ロボットによる腹腔鏡下手術

従来からの手術に加えて、2012年から前立腺がんの全摘手術において手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術も健康保険の適用になりました。

NTT東日本関東病院では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入しており、2016年には151例中147例がロボット支援手術を実施しています。

ダヴィンチは、10倍に拡大された3次元のデジタル立体画像を見ながら、手元のアームを操作して手術器具を動かすというシステムです。前立腺は骨盤の最も奥にあるため、肉眼で行う開腹手術では視野が限られますが、それを補うことができます。操作性にも優れている上に手ぶれ防止機能もあるので、神経や血管を傷つけるリスクが小さいといった利点があります。同院では術後、翌日には歩行や食事を開始しています。

ダヴィンチによる手術では、前述した排尿障害や勃起不全などのリスクを低減させ、機能を温存することが期待できます。また、執刀医や手術スタッフは拡大視野で精緻な画像を見ることができるので、がんの取り残しを防ぐことにもなります。

こうした認知が広がり、ダヴィンチによる手術を希望される患者さんは多いのですが、過去に何らかの開腹手術を受けた経験のある人など、適応にならない場合もあります。

【関連】手術支援ロボット「ダヴィンチ(da Vinci)」について(現場レポート)を読む

放射線療法

放射線療法には、外部照射と小線源療法があります。外部照射は、体外から放射線を照射するものです。小線源療法は、小さな粒状の容器に放射線を放出する物質を密封し、これを前立腺に埋め込む治療です。悪性度が高い場合や大きい前立腺肥大(50g以上)を合併する場合には放射線は効きにくく、がんが転移していれば小線源療法では不十分です。

ホルモン療法

また、ホルモン療法は、がん細胞の成長に関わる男性ホルモン(テストステロン)の産生を抑える治療で、精巣を手術で除去するか、もしくは注射剤を1カ月あるいは3カ月おきに注射して、“化学的な去勢”状態を作り出すものです。手術をした後に行うのが一般的で、再発やがんの進行が抑えられることが多いのですが、ごく一部の人では、ホルモン療法だけでがんが消滅することもあります。

ホルモン療法にもリスクがあり、急性心筋梗塞を起こしたり、肝障害や間質性肺炎などの致死的な副作用もあり得ます。また、長期に使い続けると骨粗鬆症のリスクが高まり、とりわけ高齢者の場合には、骨粗鬆症から骨折して寝たきりとなり、その結果、命に関わることもある誤嚥性肺炎なども起こしやすくなることが知られています。

志賀先生は「PSA値が上がってこないことを確認しながら薬を使い、長期の使用で骨がもろくならないよう、3年以上使っている場合には一度中断するようにしています」と語ります。

また、血流に乗って転移しやすいのも前立腺がんの特徴で、背骨や骨盤に転移することもあります。その場合は、延命目的の全身療法として、抗がん剤による化学療法や放射線療法などを行います。

志賀 淑之先生の詳細プロフィール
NTT東日本関東病院 泌尿器科 部長 志賀 淑之

NTT東日本関東病院 泌尿器科 部長

取得専門医・認定医

  • 日本泌尿器科学会指導医・専門医
  • 手術支援ロボットダヴィンチ資格認定
  • 日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
  • dV Xi System Modules for Surgeons Online Training Module
  • ^※1 出典:「国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』」(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html)

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