病気事典[家庭の医学]
ぜんりつせんにくしゅ
前立腺肉腫
前立腺肉腫について解説します。
執筆者:
公益財団法人神奈川県予防医学協会・がん予防医療部部長 三浦 猛
どんな病気か
前立腺肉腫は、前立腺がんが前立腺の腺組織から発生するのに対し、前立腺の支持組織である筋肉などの間質(かんしつ)細胞から発生します。そのために、前立腺がんでは上昇するPSA(前立腺特異抗原(ぜんりつせんとくいこうげん))は上昇しません。現在のところ特有の腫瘍マーカーは見つかっていません。
症状の現れ方
症状は、病気が進んで尿道を圧迫することから、尿が出にくいということですが、前立腺が急速に大きくなることから、尿が出なくなって見つかることもあります。直腸を圧迫することから便が出にくいという人もいます。
発生の頻度は前立腺がんの0・1%と少ないのですが、多くの患者さんが40歳以下と若い人に多いという特徴があります。若い人で尿が出にくいという症状がある場合は注意します。とくに横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)は小児によく発生します。
検査と診断
まず直腸診で、前立腺部の巨大な弾性のある腫瘍として触れます。次に、CT、MRI検査で骨盤腔内の巨大な腫瘍として診断されます。肝臓、肺などに転移しやすいので、CT検査を行います。針生検で組織診断を行います。
治療の方法
治療法としては、手術が可能であれば、膀胱、前立腺、直腸を含めた骨盤内臓器(こつばんないぞうき)全摘出術を行い、尿路の変更、人工肛門の造設、抗がん薬、放射線療法を併用します。小児以外の患者さんにおける予後は非常に悪いのが特徴です。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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