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認知症について - 原因・分類・症状 病気を知ろう 医療特集 - メディカルiタウン


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医療特集

認知症について - 原因・分類・症状

更新日:2016/09/07

超高齢社会を迎えた日本では、認知症の患者数が右肩上がりに増加して社会問題になっています。認知症の特徴的な症状は記憶障害ですが、加齢によるもの忘れと何が違うのかということから伺いました。

NTT東日本関東病院 神経内科 部長 吉澤 利弘

お話を伺った先生:

認知症とは

認知症とは、脳の障害によって進行性の認知障害が引き起こされ、日常生活や社会生活に支障をきたす状態をいいます。

はじめにお話ししたいことは、認知症すなわちアルツハイマー病ではないということです。認知症といっても様々な種類があり、中には『治療可能な認知症(treatable dementia)』もあります。こうしたことをより多くの方に知っていただき、早期発見と適切な治療につなげて欲しいと考えています。

もの忘れと認知症の違い

思い出したいことがすぐに思い出せないというのは、多くの場合は加齢に伴う「もの忘れ」です。加齢に伴うもの忘れは、「エピソード記憶」(出来事の記憶)の一部を忘れるだけで、出来事そのものは覚えています。例えば、約束の日時を忘れてしまっても、約束をしたことは覚えているということです。

認知症の特徴は、こうした「エピソード記憶」がすっかり抜け落ちてしまうことです。約束の日時どころか、約束したこと自体を忘れてしまいます。

進行してくると、最近旅行に行ったというような大きな体験についても忘れてしまうようになります。さらに重度になると、たった今食事をしたことも忘れてしまう、ということも起こります。

エピソード記憶を忘れてしまうことは、日常生活に重大な影響を及ぼします。例えば、テレビの通販番組を見て自分で商品を購入した場合でも、その事実を忘れてしまいます。商品が送られてきて、「私はこんな物を頼んでいない」というようなトラブルを起こすことも決して珍しいことではありません。

認知症の統計

日本では、認知症の患者が急増しています。厚生労働省によれば、2012年時点で日本の認知症高齢者(65歳以上)は約462万人、後述する「予備群」の軽度認知障害(MCI)の400万人と合わせると、862万人に達します(厚生労働省研究班、代表研究者=朝田隆・筑波大教授)。

さらに、2015年1月に発表した最新の将来推計値では、2025年には、その1.5倍の約650~700万人が認知症高齢者になるとされ、65歳以上の5人に1人に相当すると推計されています(九州大学・久山町の認知症調査の成績から推計)。また、その後も2040年に約800~950万人、2060年に約850~1150万人と、右肩上がりに増加するとされています。

後述する分類別にみると、アルツハイマー型認知症の増加が顕著になると予測されています。

アルツハイマー型認知症は女性が多いのが特徴です。性差の原因は明らかになっていませんが、女性のほうが長寿であることの影響が大きいと考えられます。外来に来られる患者さんは、70歳以降であることがほとんどです。

認知症の原因と分類

認知症は、その原因からいくつかの種類に分類されますが、大きくは以下の3つに分けられます。脳の神経細胞が異常に変化または減少することによって起こる「変性性認知症」と、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる「脳血管性認知症」、そしてそれ以外の原因で起こる「その他の認知症」です。

認知症全体の中で最も患者数の多いのが、過半数を占めるアルツハイマー型認知症です。ついで脳血管性認知症の患者数が多いとされていましたが、最近ではレビー小体型認知症の頻度が高いことがわかってきました。変性性認知症には、頻度が低いものの前頭側頭葉型認知症も含まれます。

その他の認知症には、他の疾患等により起こる様々な認知症が含まれます。他の疾患により起こる認知症は、原因を取り除くことによって認知機能が回復することがあります。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の原因は、まだはっきりと解明されていません。

患者さんの脳では、早期に記憶を司る海馬(かいば)にある神経細胞から死滅が始まります。大脳皮質にはβアミロイドという異常なタンパク質が沈着して、老人斑(ろうじんはん)と呼ばれるしみができ、神経細胞には神経原線維変化と呼ばれる異常が起こります。これらの異常によって神経細胞の死滅や脳の萎縮が進行します。

アルツハイマー型認知症は記憶障害がじわじわと緩やかに進行することが特徴です。初期(発症から5年程度)には、前述したエピソード記憶の障害が生じるようになり、最近の出来事が覚えられなくなるほか、計画や段取りを立てて行動することができなくなります。中期(発症から5~10年程度)には、誰もが当たり前に知っていることを説明できなくなったり、現在の季節や年月・時刻、自分がいる場所などの基本的な状況が分からなくなる見当識(けんとうしき)障害が起きたりします。さらに後期(発症から10~15年程度)には、人物の認識ができなくなったり、言語機能や運動機能が低下したりします。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、大脳皮質に異常なタンパク質が円形状に蓄積した塊(レビー小体)が現れて、大脳の萎縮が起きるのが特徴で、それに伴い認知機能の低下をきたします。

診断が難しい病気の1つで、便秘や起立性低血圧などの自律神経症状、レム睡眠行動障害(睡眠中に夢で見ていることを行動に移す)といった症状が何年も続いた後に、認知症が出てくるようなケースも少なくありません。

認知症症状だけでなく、運動症状も見られるのが特徴です。認知症症状では、もの忘れ以外に、幻視や注意力低下などが起こることがあります。運動症状としては、手足の震えが出たり、動作が鈍くなったりすることがあります。こうした運動症状が特徴的なパーキンソン病に、認知症が合併してくることもあります。

脳血管性認知症

脳血管性認知症の原因は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害によって脳の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が死滅したり、神経ネットワークが壊れたりすることです。

脳血管障害が起きてから急に認知症状が進むこともあれば、少し時間が経過してから症状が現れることもありますが、脳血管障害が起こって3カ月以内に認知症の症状が出てきた場合を脳血管障害に伴う認知症(脳血管性認知症)と定義しています。

加齢に伴って、誰もが動脈硬化などを起こしてきますから、最近ではアルツハイマー型認知症のほとんどに脳血管性の要素が加味されていると言えます。

脳血管性認知症も増加しています。ただし最近は、それだけというよりは、アルツハイマー型認知症に血管性が加わって悪化していることが問題になってきています。

その他の認知症

いずれも少数ですが、特発性正常圧水頭症、ビタミンB1やB12の欠乏症、甲状腺機能低下症、肝機能障害、ホルモンの異常などによる認知症があります。薬物やアルコールなどの中毒によっても認知症が起こってくることがあります。これらは、原因が明らかになれば、例えばビタミンを補充するなど、認知症を起こしているそれぞれの病気を治療することによって治療可能になる認知症です。

一般の人には、アルツハイマー型認知症もその他の認知症も、症状ではあまり区別できないように感じられるはずですから、専門家の診断を仰いでください。

若年性認知症

なお、こうした原因による分類とは別に、65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」と呼びます。若年性認知症は全体数から見ると少数です。また、分類的にはアルツハイマー型認知症が多数を占めます。

軽度認知障害(MCI)とは

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:以下、MCIと略します)とは、まだ認知症に至ってはいないが、記憶を中心にして明らかな認知機能の低下が認められる状態をいいます。

MCIはアルツハイマー型認知症を診断する際に、発症に至る前段階と定義されます。MCIの中から一定以上の頻度でアルツハイマー型認知症に進行するので、MCIの段階で見つけ出して介入することで、認知症への進行を予防できる可能性があることから、重要視されています。

アルツハイマー型認知症の症状が出るときには、脳の神経細胞はかなり死滅して減少しています。また、脳の中の神経線維網もかなり断裂しているなど相当に進行した状態であり、そこから治療しても十分な効果が得られない可能性があります。

そこに至る前のMCIの段階から将来を予測し、発症を予防するような対策を講ずることはとても大切です。現在、様々な薬が開発中ですが、運動するように努めることや、社会的な活動へ参加するなど薬以外の手段によって、進行予防につなげられる可能性があります。

何科を受診したらよいのか

認知症の典型的な症状である、記憶力が悪くなった、計算できない、日付が分からない、といった症状があれば、周囲の人も認知症に気づきやすいのですが、ボーっとしている、意識が少し低下している、意欲がない、といった典型的でない症状のこともあります。本人はどちらかと言えば自覚がないことが多いので、ご家族がおかしいと思われた場合は、医療機関への受診につなげてください。

セルフチェック用のテストも色々ありますが、評価が難しいので、専門的な診断を仰ぐことが大切です。また「治療可能な認知症」をきちんと鑑別するのも、専門医でないと難しいでしょう。

医療機関を受診する際は、認知症を専門的に診断できる神経内科、精神神経科、認知症専門外来などを受診するのがよいでしょう。できれば希望する病院・医院のホームページを見て、認知症に適した診療科を探すことをおすすめします。

認知症サポート医

「認知症サポート医」は、厚生労働省の「認知症地域医療支援事業」に基づいて研修を受けた、認知症についてのアドバイスや診断、専門医療機関の紹介などを行う医師です(図1)。

はじめて受診する場合は必ずしも大きな病院へ行く必要はありません。かかりつけ医からの紹介、もしくは地域の認知症サポート医に直接相談する方法もあります。認知症サポート医に相談することで、地域の支援体制などの情報も円滑に提供されることが期待できます。

図1 厚生労働省 認知症サポート医・かかりつけ医 支援体制より

図1 厚生労働省 認知症サポート医・かかりつけ医 支援体制より

認知症疾患医療センターの相談窓口

「認知症地域医療支援事業」に基づき、全国の都道府県および指定都市が設置する「認知症疾患医療センター」には、認知症の相談窓口が設けられています。気になる症状などについて家族が相談をしたい場合や、医療機関を受診するかどうか迷うような場合には、こちらを利用するのもよいでしょう。

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吉澤 利弘先生の詳細プロフィール
NTT東日本関東病院 神経内科 部長 吉澤 利弘

NTT東日本関東病院 神経内科 部長

取得専門医・認定医

  • 日本神経学会神経内科専門医
  • 日本内科学会認定内科医・指導医

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