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手指の痛み - 変形性関節症 病気を知ろう 医療特集 - メディカルiタウン


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医療特集

手指の痛み - 変形性関節症

更新日:2018/04/13

糖尿病や関節リウマチなどの病気が原因のものを除くと、手指の痛みを訴える患者は中高年の女性が圧倒的に多いそうです。家事・育児や仕事などに追われる世代の女性にとって、手指に痛みがあるのはとても辛いことです。

手指の疾患について、症状や治療、痛みとの向き合い方について伺いました。

NTT東日本関東病院 整形外科部長、手術部長 大江 隆史

お話を伺った先生:

手指に現れる症状

手指に現れる症状は、「痛い」「痺れる(しびれる)」といった訴えが多く、他に赤い腫れ、変形、水疱のようなものが見られることもあります。痛みが軽い場合もあり、変形だけが生じることもあります。進行するにつれて動かしにくくなっていきます。

部位でいうと、最も多いのが指の「第一関節」で、次いで多いのが母指の付け根の「母指CM関節」、また指の「第二関節」にもよく現れます。

図1 指の関節と名称

図1 指の関節と名称

痛みなどの原因

骨と骨をつなぐ関節には軟骨があり、軟骨は関節にかかる衝撃を和らげ、動きをスムーズにするクッションのような役割を担っています。しかし、軟骨が減ったり関節が緩んだりすると、動かす際に痛みや痺れなどを起こし、さらに指や関節に負担がかかることで変形が生じてきます。

軟骨の摩耗や関節の緩みが、使いすぎや強い負荷によって起こるのはもちろんですが、やはり一番の要因は加齢です。特別なことはしていなくても、長く使っていることによって軟骨や関節の“経年劣化”が起こってくるのです。

女性に多い理由

また、女性の場合、更年期の頃から痛みを訴える人が増えてきます。これは、この時期に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することが関係していると考えられます。

エストロゲンは骨形成を進める一方で、骨吸収(骨形成とは逆に、骨量が減る働き)を抑えるという働きをしています。このエストロゲンが減少することにより、閉経後10年ほどの間に骨量のピークである20~30代のころと比べて約2割もの骨量が急激に減少します。

また、骨量の減少だけが問題ではなく、関節や靭帯などにも女性ホルモンが保護的に作用しているために、その減少の影響を受けるのではないかと考えられています。実際に更年期には、関節の緩みや腱や靱帯などが硬くなるといった変調が起こってきます。

膝関節や股関節の障害なども女性に多いことが知られていますが、症状が多く現れてくるのはもう少し年齢が上(70代頃)になってからです。関節がより小さい手指に、一番初めに異常が現れるという見方もできるでしょう。

対して男性の場合、女性の更年期に相当する50~60代の患者はあまりみられません。女性とは体格差があって関節も大きく、軟骨の量も多いために、影響が小さいと考えられます。男性の患者がいないわけではありませんが、女性のようにこの世代がピークという時期は特になく、経年によって緩やかに発症するものがほとんどです。

女性患者の傾向

かつて、手の障害を訴える女性は給食の調理員などに多く、明らかに手の使い過ぎによる“職業病”でした。しかし最近では特徴的な職業ではない、主婦を始めとする一般の人が増えています。便利な家電やサービスの普及によって重労働は減っていると思いますが、実際に家事や仕事などによって手指には現代でも多くの負担がかかっていると考えられます。

変形性関節症

変形性関節症は、手指が痛む代表的な病気です。軟骨が減り関節が緩んだり、関節の変形が生じたりします。

指の第一関節に生じるものを「ヘバーデン結節」、第二関節に生じるものを「ブシャール結節」と呼びます。それぞれ報告者の名前が付けられています。

「母指CM関節症」は、母指CM関節に起こる変形性関節症です。母指は使用頻度が高く、「つまむ・握る・ひねる」などの動きをすることで、関節にも大きな負荷がかかっています。関節が緩んで亜脱臼することもあります。

変形性関節症の検査と診断

指の変形性関節症は、X線検査などで診断します。

注意すべきことは、関節リウマチとの鑑別です。概ね2つ以上の関節が腫れている場合は関節リウマチを見落とさないように、血液検査を行うようにしています。リウマチは自己免疫疾患ですから、関節破壊を抑える薬を早めに使用することが重要です。

【関連】関節リウマチ(病気事典)を読む

変形性関節症の治療

変形性関節症の場合、まずは保存的治療を行います。痛みや変形の見られるところにテーピングをしたり、装具(プロテクター)を付けたりすることで、安静を保つようにします。症状によっては、ステロイド注射が有効なこともあります。これらによって効果が不十分な場合は、外科手術を行います。

変形性関節症の外科手術

保存療法で痛みが取れない場合や、関節の変形が進行して日常生活に支障を来たすような場合は、手術が検討されます。

ヘバーデン結節の場合は「関節固定術」、母指CM関節症の場合は「関節固定術」や「関節形成術」、ブシャール結節の場合は人工関節を入れる「人工関節置換術」を行います。

関節固定術と関節形成術

関節固定術は、骨が当たらないように関節を固定して痛みを取るものですが、術後は固定された部分の動きが制限されることになります。そのため、物をつまんだ時の感触が変わってきます。回復までの期間はおよそ1カ月半です。

一方、関節形成術は、骨同士が当たらないように骨を1つ抜くものです。これによって指の動きは改善しますが、術後10年程度経過すると、抜いた骨の周囲の組織が段々と縮み、指が短くなってきます。親指などでは、1cmぐらい縮んでしまうこともあるので、75歳未満の人にはあまりお勧めできません。日常動作ができるようになるのにおよそ2カ月、強い仕事ができるのにおよそ3カ月かかり、半年、1年と経つうちに、ほぼ改善されます。

これらの手術は、痛みが取れて手が日常的に使えるようになるまでに時間がかかるのが難点です。

人工関節置換術

人工関節置換術は、摩耗した軟骨や関節の部分を金属やポリエチレンなどの人工関節に置き換える手術です。人工関節は、使っているうちに、軟骨の代わりとなるポリエチレンが摩耗して緩んでくることがあります。膝関節や股関節などは、置換した後20年ぐらいは使用可能ですが、指の関節はそこまで長持ちはせず、途中で交換するということもあります。

第二関節(PIP関節)は通常90度以上曲がります。ここに人工関節を入れると、痛みやぐらつきは減りますが、現在の人工関節は5年ぐらい経ってくると可動域が40度ぐらいと、半分以下になります。機能回復という点では発展途上の治療といえるでしょう。

母指CM関節症では、有効な人工関節が日本では承認されておらず、使えないのが課題です。

大江 隆史先生の詳細プロフィール
NTT東日本関東病院 整形外科部長、手術部長 大江 隆史

NTT東日本関東病院 整形外科部長、手術部長

取得専門医・認定医

  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本手外科学会手外科専門医

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