病気事典[家庭の医学]

てあしのかんせつがいたい

手足の関節が痛い

手足の関節が痛いについて解説します。

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手足の関節が痛む場合は、けがや急な関節炎を除くと、主に変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)と関節リウマチが考えられます。

(1)変形性関節症

加齢に伴い、徐々に軟骨がすり減ってきて、関節の痛みが出たり曲げ伸ばしがしにくくなり、それと同時に関節のはれや骨の変形を生じてくる病気です。変形性関節症が起こりやすい関節は、膝(ひざ)関節、股(こ)関節、遠位指節(えんいしせつ)関節(指先の関節)です。骨折やひどい捻挫(ねんざ)のあと、また極端な使いすぎなどの場合は、肩関節、肘関節、足関節なども変形性関節症になることがありますが、ここでは頻度の高い関節について説明します。

変形性膝関節症は、最も多い変形性関節症で、「年をとると膝が痛い」という時のほとんどがこの病気です。典型的な症状は、膝がまっすぐ伸びない、よく曲がらず正座ができない、じっとしていれば痛くないが歩くと痛い、とくに立ち座りや階段がつらい、関節がはれて大きくなる、水がたまるといったものです。O脚や肥満の方、骨折や靭帯の損傷などの外傷後はこの病気になる頻度が高くなります。体重を落とし、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋(だいたいしとうきん))を鍛えると症状が軽くなります。

大腿四頭筋を鍛えるには、あお向けに寝た状態で、片脚を伸ばしたままで挙上します。かかとが床から10㎝程度離れたところで止めて、5~10秒間。これを10~20回行います。

変形性股関節症では、歩く時などに脚の付け根が痛くなります。また、股が広がりにくくなってきます。じっとしていると痛くありません。進行してくると立っているだけで痛い、股関節がまっすぐ伸びなくなる、痛む側の脚の長さが短くなる、歩く時に体が左右に揺れてしまうといった症状が出てきます。

遠位指節関節の変形性関節症は、ヘバーデン結節と呼ばれています。50代以降の女性に多く、遠位指節関節がはれて痛み、まっすぐ伸びなくなってきます。1~2年の自然経過で、関節がふくらんで少し曲がった状態で治ります。曲がってこないように伸ばすようにする運動を、毎日するとよいでしょう。

こうした3種類の変形性関節症も、ほかの関節の変形性関節症もX線写真をとって状況を知る必要があります。整形外科にかかるとよいでしょう。

(2)関節リウマチ

複数の関節がはれたり痛んだりする病気です。左右の同じ関節が同じようにはれたり痛むことが多くみられます。また、「朝のこわばり」、すなわち朝起きた時に手の動きがかたい、握りにくいといった症状が短ければ数分、長ければ午前中いっぱい続くというもので、関節リウマチに特徴的です。こうした症状が6週間以上続くとかなり確定的です。

症状の出やすい関節は、手関節、手の指の付け根や近位指節(きんいしせつ)関節(付け根に近い関節)をはじめとして、肩、肘、膝、股、足、足の指と、あらゆる関節に症状が起こる可能性があります。また、頸椎(けいつい)にも影響が出やすく、首を動かした時にごりごり音がする、首から頭にかけての後ろ側が痛むといった症状を伴います。

関節リウマチの症状の強さはさまざまですが、いずれにしても可能性が考えられる時は、整形外科か膠原病(こうげんびょう)内科、リウマチ内科を受診し、X線検査や血液検査を受けてください。

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