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手術支援ロボット「ダヴィンチ(da Vinci)」について 現場レポート トピックス - メディカルiタウン


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トピックス

手術支援ロボット「ダヴィンチ(da Vinci)」について

最終更新日:2017/03/08

ロボット技術などのテクノロジーがめざましい発展を遂げるなか、これらの最先端技術は、現在の医療分野でも大きな成果を上げています。手術支援ロボット「ダヴィンチ」もその一つです。ダヴィンチとはどのようなものなのか。また、最新モデルのダヴィンチXiを導入している、NTT東日本関東病院の取り組みをご紹介します。

ダヴィンチとは

ダヴィンチは、内視鏡手術をする際に用いられる手術支援ロボットです。アメリカのインテュイティブ・サージカル社が開発したロボットで、世界の導入数約3,900台のうち日本は約250台(2016年12月現在)を有し、世界第2位の保有国となっています

図1 世界の保有数(2016年9月現在)

図1 世界の保有数(2016年9月現在)

図2 ダヴィンチXiシステム
図2 ダヴィンチXiシステム

図2 ダヴィンチXiシステム

ダヴィンチの優れた機能

10倍の拡大視野

ダヴィンチの内視鏡は、術部を10倍に拡大できます。10倍のデジタルズームが可能なため、カメラを必要以上に近づけることなく、細かい血管や神経の位置が正確にわかります。(図3-①)

3D(3次元)のデジタル立体画像

ダヴィンチの内視鏡は、3Dのデジタル立体画像になっています。術部が立体的に見えるので、レンズを通しても距離感に違和感がなく、精緻な手術が可能になります。

多種類の手術器具と操作性

ダヴィンチは手術器具(鉗子:かんし)の種類が多く、人の手が動きにくいところでも稼働します。内視鏡アームの先に取り付ける手術器具は40種類以上あり、折り鶴を折ったり米粒に文字を書いたりできるほどの、非常に精緻な操作が可能です。また器具自体が小さいため、人の手が入りにくい狭いところや体の深いところでもより細かな動きが可能になります。(図3-②、③)

手振れ防止機能

ダヴィンチには手振れ防止機能が付いています。そのため、術者の手振れが鉗子に伝わることがありません。

図3 ダヴィンチのインストゥルメント(手術器具)
図3 ダヴィンチのインストゥルメント(手術器具)

図3 ダヴィンチのインストゥルメント(手術器具)

保険が適用される手術

ダヴィンチを用いた手術は、日本ではまず2012年に前立腺がん全摘手術(腹腔鏡下手術)が保険適用となり、2016年には腎臓がんの部分切除にも適用となりました。

使用可能な領域としては、泌尿器科のほかに一般消化器外科、胸部外科、産婦人科などがあり、今後は大腸がん、肺がん、子宮がんなどへの適用が待たれています。

NTT東日本関東病院の取り組み

NTT東日本関東病院は、2015年12月にダヴィンチの最新鋭機器「ダヴィンチXi」を東日本で最初に導入しました。

2016年には、前立腺がんの全摘手術151例中147例がダヴィンチによるロボット支援手術となり、現在ではほとんどの症例がロボット支援手術に置き換わっています。また、2016年4月に保険適用となった腎部分切除術においても、すでに36例中9例がロボット支援手術となっています。

NTT東日本関東病院では、ダヴィンチによる手術の特徴を以下のように述べています。

ダヴィンチによる手術の特徴

傷口が小さく出血量が少ない

開腹(または開胸)手術の場合、傷口が大きくなるため出血量が多くなります。しかし、ダヴィンチを用いた内視鏡手術では、小さな穴を数カ所開けて手術器具を挿入するため、傷口が小さく出血量も少なくてすみます。

術後の痛みが少ない

傷口が小さいため開腹(または開胸)手術よりも術後の痛みが小さく、ほとんどの場合、翌日には立って歩いたり、食事をしたりすることができます。

早期の社会復帰が可能

傷口が小さく、手術後の痛みも少ないので、患者さんの体にかかる負担が小さくなります。そのため、早期の社会復帰が可能です。

後遺症リスクの低減

内視鏡で明るく照らし、拡大視野でより繊細な手術ができるため、手術の確実性が高くなります。これにより、後遺症のリスクも低減することが期待できます。

ロボット支援手術のエキスパート

アメリカと比較するとまだまだ手術数の少ない日本で、ダヴィンチを用いた前立腺がん全摘手術を、すでに550例以上(2017年2月末)と全国トップクラスの実績を持っているのが、NTT東日本関東病院・泌尿器科部長の志賀淑之先生です。

志賀先生は、3Dプリンターを利用したナビゲーション手術にも注力されており、2014年には欧州泌尿器科学会総会での受賞経験もあるエキスパートです。世界が注目するナビゲーションシステムの導入で、手術の質だけでなく、スタッフ教育やチームワークの醸成も高める、幅広い取り組みをされています。

さらに2016年8月には、現在の画像よりも一段と高精細な8Kカメラを内視鏡に取り付け、前立腺がんの手術を撮影することに世界で初めて成功しました。様々なメディアにも大きく取り上げられ、手術技術や医療機器のさらなる向上へ、今後の展開が期待されています。

NTT東日本関東病院 泌尿器科部長 志賀淑之先生

図4 志賀淑之先生とダヴィンチXi

前立腺がん全摘手術でダヴィンチを使うメリット

現在保険適用となっている前立腺がんの全摘手術で、ダヴィンチを用いる大きなメリットは、「根治性の高さと機能温存を両立させることができること」だと志賀先生は語ります。

前立腺は骨盤の奥にあります。特に日本人男性の骨盤は欧米人に比べて狭く、視野が限られる中で繊細な手術を行わなければなりません。また前立腺の周囲には勃起神経や血管が張り巡らされており、全摘手術をする場合、勃起神経も合わせて切除するのが標準的な術式です。しかし、ダヴィンチを使用した場合、手が入りにくいところまで手術器具を挿入することができ、神経や血管をできるだけ傷つけないように手術をすることが可能です。これにより、がんの取り残しや尿漏れのリスクも低減します。

つまり、これまでどちらかを優先せざるをえなかった、がんを完全に切除したいという思いと尿漏れや勃起障害のリスクを減らしたいという思いを、両方追求することができるようになったということです。

また、患者さんにとって圧倒的に低侵襲(ていしんしゅう:手術や検査に伴う痛みなどの負担をできるだけ少なくすること)な手術になることも大きなメリットといえます。

「一般的にはロボット支援手術を行っていても3時間半~5時間かかるといわれる手術ですが、当院では1時間半~2時間で行い、出血量も10ccくらい。輸血もないので自己保存血(手術前に自分の血液を採血しておくこと)もしていません」(志賀先生)。

開腹手術とロボット支援手術の比較

前立腺がん全摘手術の例で、従来の開腹手術とダヴィンチによるロボット支援手術(腹腔鏡下手術)を比較しました(表1)

表1 開腹手術とロボット支援手術の比較(NTT東日本関東病院における前立腺がん全摘手術の例)
  開腹手術
(一般的な目安)
ロボット支援手術
(エキスパート医師が執刀)
入院 2~3週間 8~9日間
手術時間 3時間半
~4時間
1時間半
~2時間
出血量 1300ml 50ml未満
手術
  • 人の目で見える範囲が限られていて、尿道括約筋や神経を傷つけることが多く出血量が多くなりやすい。
  • 尿道と膀胱のつなぎ合わせの正確性に乏しい。
  • 傷口が大きい。
  • 人の目より自由に見たいところを見ることができる。
  • 気腹する(炭酸ガス)ため、出血の量が少ない。
  • 人の目が届きにくい箇所でも今までより正確に縫合ができる。
傷口の比較 傷口の比較 傷口が大きい
傷口が大きい
傷口の比較 小さな傷が5カ所程度
小さな傷が5カ所程度

※ ロボット支援手術はNTT東日本関東病院におけるエキスパート医師による執刀の目安です。

※ ロボット支援手術は全ての方に適応できるわけではありません。過去に何らかの開腹手術を受けた経験があるなど、適応にならない場合もあります。

ダヴィンチを用いた前立腺がん手術に関するQ&A

Q費用はどのくらいかかりますか?

A入院期間を8日とみると、手術費用は、かつては126万円程度かかりましたが、現在では保険が適用されるため、3割負担の場合、約50~60万円、1割負担で約18~20万円程度になります。また70歳以上(一般所得)の場合、自己負担限度額は44,000円です。
なお、これらの金額はおおよその目安で、入院期間や治療の内容によって変わります。

Qどんな病状でも手術できますか?

Aダヴィンチを使用する場合は、アームを挿入するための筒(ポート)を腹部に設置しなければなりません。過去に開腹手術をしたことのある人は腹部に癒着があることが多く、ポートを設置しづらくなるため、ダヴィンチを使用しないほうが良い場合もあります。詳しくは、主治医にご相談ください。

おわりに

手術支援ロボット、高精細画像、ナビゲーションシステム、Ai(人工知能)などといった最先端技術は、医療において今後ますます発展が期待される分野であることは間違いありません。治療の選択肢が増えることは歓迎すべきことですが、個々の病状に最適な治療を受けるためには、患者自身による事前の情報収集も大切になります。

一般に公開されている手術数などの実績は、一つの目安になるものといえるでしょう。

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