病気事典[家庭の医学]
もやもやびょう(ういりすどうみゃくりんへいそくしょう)
もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)<脳・神経・筋の病気>
もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)<脳・神経・筋の病気>について解説します。
執筆者:
東海大学医学部内科学系神経内科教授
髙木繁治
どんな病気か
もともとは、脳血管撮影をすると正常の太い動脈が写らず、毛のように細い多数の異常な血管がもやもやと写ることからついた名前です。
正常な状態では脳の下面には図14のように太い動脈が互いにつながっていて、動脈の輪をつくっています。これをウイリス動脈輪といいます。この病気の本態は、ウイリス動脈輪がふさがったため、血流を補うために細い動脈が発達し、その細い動脈がもやもやした血管として見えているものです。
正式にはウイリス動脈輪閉塞症といいます。日本、韓国、中国など東アジアに多くみられます。日本には約5300人の患者さんがいるとされています。
症状の現れ方
年齢によって、症状が違います。若年型といわれる5歳前後に発症のピークがある型では、走る、泣く、熱い食べ物を吹いてさます、笛を吹くなどの過換気によって、一過性の脱力発作、感覚障害、意識障害、けいれん、頭痛などが起こります。
成人型といわれる発症のピークが30~40代にある型では、脳実質内出血、脳室内出血、くも膜下出血(まくかしゅっけつ)などの頭蓋内出血や、脳梗塞(のうこうそく)で発症します。
小児では、知能障害がみられることもあります。
検査と診断
脳血管撮影を行いますが、典型的な場合はMRA(磁気共鳴(じききょうめい)血管撮影)、MRIだけで診断できます。ウイリス動脈輪とその近くの内頸動脈、前・中大脳動脈の狭窄(きょうさく)や閉塞と、もやもやした血管がみられれば、本症と診断されます。
治療の方法
脳血管拡張薬、抗血小板薬を投与する場合があります。小児では、脳の表面に腱膜(けんまく)や筋肉を付着させて血行を促す間接的血行再建術、あるいは浅側頭(せんそくとう)動脈‐中大脳動脈吻合術(ふんごうじゅつ)という手術を行うことがあります。
成人型では手術が有効かどうかはわかっていません。何も治療をしないで経過をみる場合もあります。
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