病気事典[家庭の医学]
ずがいないしゅっけつ
頭蓋内出血
頭蓋内出血について解説します。
執筆者:
新潟市民病院総合周産期母子医療センター新生児科副センター長
佐藤 尚
どんな病気か
頭蓋骨の内部に出血が起こったものです。出血が起こった場所により、硬膜外(こうまくがい)出血、くも膜下(まくか)出血、硬膜下(こうまくか)出血、脳室内(のうしつない)出血、上衣下(じょういか)出血、脳実質内(のうじっしつない)出血などに分けられます。ほとんどは出生直後から2~3日以内に起こります。
原因は何か
赤ちゃんの脳は血流が豊富であり、血管も未熟です。また血液凝固機能も未熟なので成人に比べると出血が起こりやすいといえます。この傾向は、未熟な赤ちゃんほどより強くなります。このように、もともと出血を起こしやすい状態といえる赤ちゃんに分娩時の外傷、仮死(かし)、出生後の呼吸障害や循環障害などが加わることで出血が起こります。また、先天的に血液凝固機能の障害がある赤ちゃんでは、より出血が起こりやすくなります。
脳内の成熟の度合いによって、出血部位は多少異なります。早産(そうざん)児では脳室内出血や上衣下出血が多く、正期産(せいきさん)児では硬膜外、硬膜下、脳実質の出血が比較的多くみられます。
症状の現れ方
出血量が少ない場合は無症状のこともあります。出血量が多かったり、血腫によって脳が圧迫されたりすると、全身が蒼白になる、ぐったりして元気がない、呼吸が止まる、後ろに反り返る、泣き声が甲高い、ミルクを飲まない、吐く、目つきがおかしい、けいれんするなどの症状がみられます。
また、とくに脳室内出血やくも膜下出血の場合、数日から数週間後に水頭症(すいとうしょう)を発症してくることがあります。その場合は、頭囲が標準を超えて大きくなる、ミルクを飲まない、吐く、呼吸が止まるなどの症状が徐々に現れてきます。
子どもの病気を読んだ人によく読まれている記事
子どもの病気でよく読まれている病気解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。