病気事典[家庭の医学]
とうにょうびょうせいにゅーろぱちー
糖尿病性ニューロパチー
糖尿病性ニューロパチーについて解説します。
執筆者:
興生会相模台病院副院長/北里大学名誉教授
齋藤豊和
原因は何か
糖尿病性ニューロパチーの原因には2つあり、病型は3つの型に分類できます。
ひとつは、糖尿病による代謝障害により、手足の先(遠位部)から感覚障害(しびれ、ぴりぴり感など)が現れ、次第に体の中心に向かって左右対称に進んでいきます。これを多発性ニューロパチーといいます。
糖尿病ではまた、小血管の動脈硬化が現れ、神経に栄養を送っている栄養血管に血液が行かなくなり(虚血(きょけつ))、手足に行っている神経がばらばらに侵されてきます。これを虚血性ニューロパチーといい、その結果、多発性単ニューロパチーと単ニューロパチーが起こってきます。前者は、ばらばら(多発性)に1本1本の神経(単神経)が非対称性に侵されるもの、後者は、動眼(どうがん)神経、外転(がいてん)神経や手にある正中(せいちゅう)神経(手根管(しゅこんかん)症候群)など1本の神経だけが侵されるものです。
治療の方法
治療法の選択は、代謝性によるものなのか、虚血性によるものなのかにより異なります。
虚血性のものならば、末梢の循環をよくして血行を改善することが重要になります。痛みの強い、有痛性感覚性ニューロパチーが起こったり、四肢の末端が赤く、異常な感覚を伴う肢端紅皮症(したんこうひしょう)がしばしばみられ、治療が難しいことがあります。痛みに対しては、メキシレチン、カルバマゼピン(抗けいれん薬)などでコントロールしていきます。
代謝性障害によって起こる多発性ニューロパチーの治療は(1)血糖のコントロール、(2)代謝障害改善薬として、アルドース還元薬(キネダック)が使用されます。
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