病気事典[家庭の医学]
せんてんせいししつたいしゃいじょうによるしんけいしょうがい
先天性脂質代謝異常による神経障害
先天性脂質代謝異常による神経障害について解説します。
執筆者:
神経内科津田沼神経研究所所長/東邦大学名誉教授
栗原照幸
どんな病気か
神経系やその他の臓器の細胞内に脂肪がたまる遺伝性の病気で、先天性の酵素欠損によって細胞内の脂肪の代謝がうまくできないために、脂質がたまって障害を起こします。骨髄(こつずい)や肝臓、脾臓(ひぞう)を生検すると、脂肪がたくさんたまった細胞があることから、これを顕微鏡で見て診断ができます。
代表的な病気としては、G
人名のついた病名があって診療が難しいことがありますので、小児神経の専門医の診察を受けることが大切です。
症状の現れ方
生後早期から、知能や運動能力の発達が遅れます。成人でもこの代謝異常があると、知能低下、視力障害、けいれん発作、不随意(ふずいい)運動(自分の意思に反して勝手に手足が動いてしまうこと)、肝臓や脾臓などの臓器肥大など、独特の症状を来します。いろいろな病型があるので、症状も病型により異なります。
発生頻度は人口10万人に1人、あるいはそれ以下とまれな病気ですが、多くは、小児科で新生児期や幼児期に知能や運動能力の発達が悪いことから専門的に検査されて、診断されることが多いようです。脂質の代謝に関係する酵素が完全に欠損している場合は生まれてすぐに症状が出ることが多いのですが、酵素が部分的に欠損している場合は、若年あるいは成人になってから症状が現れることがあります。一般に、生後早期から症状が現れるものほど重症です。
検査と診断
前に述べたような独特な臨床症状に加えて、骨髄穿刺(せんし)、肝臓などの肥大した臓器の生検により、脂肪がたくさんたまっている細胞を顕微鏡で見て診断ができます。さらに酵素活性、遺伝子診断により確定診断ができます。
病気に気づいたらどうする
小児神経の専門医の診察を受けて、脂質代謝のどの酵素が欠損しているか、酵素活性を調べ、遺伝子変異の診断をしてもらいます。
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