病気事典[家庭の医学]
ししんけいせきずいえん
視神経脊髄炎
視神経脊髄炎について解説します。
執筆者:
東北大学医学部神経内科学教授
糸山泰人
どんな病気か
神経のなかでも主に視神経と脊髄(せきずい)を繰り返し障害する病気で、以前は多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)(MS)の一部と考えられていました。血液中のアクアポリン4抗体が病気の原因と考えられており、ほとんどの患者さんは女性(男女比は1:9)で、30代に発症することが多くみられます。
原因は何か
原因は不明ですが、血液中に水チャンネル(水の通り道)のひとつであるアクアポリン4という蛋白質の抗体が作られることにより、中枢神経を構成するアストロサイトという細胞が障害されて病気が起こると考えられています。
多発性硬化症が髄鞘(ずいしょう)やオリゴデンドロサイトが障害されるのに比べ、視神経脊髄炎ではアストロサイトが障害されるので中枢神経での組織破壊が強く、そのため症状が重く回復が悪い傾向があります。
症状の現れ方
しつこいシャックリや吐き気が病気の始まりのことがありますが、主な症状は視神経あるいは脊髄の炎症によって出現し、それらを繰り返す(いわゆる再発と寛解(かんかい))ことが多くなります。
視神経炎は両眼に生じることも多く、症状が重い場合は失明することもあるので早期の治療が必要です。脊髄炎は横断性のタイプをとり、四肢、とくに両足に強い脱力や感覚障害を来し、回復しにくい場合があります。
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