病気事典[家庭の医学]
てんいせいはいがん
転移性肺がん
転移性肺がんについて解説します。
執筆者:
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設教授
中西洋一
どんな病気か
他の臓器から肺に転移して病巣を作ったがんを転移性肺がんと呼びます。転移性肺がんは、肺に病巣があるというだけで、がんとしての生物学的特徴は原発性肺がんとは異なり、もともとがんが発生した臓器の特徴を受けついでいます。
肺は転移が多い臓器で、肺以外で発生したがんの30~50%が肺に転移しているといわれています。肺に転移が多い理由は、肺という臓器の役割と構造に大きく関わっています。
全身の血液は肺にもどり酸素化されます。効率よく酸素化するために、肺はスポンジ状の網目構造となっています。ガス交換が効率よく進む仕組みです。同じように、がん細胞もこの血流に乗って肺に届きやすく、細かい網目構造の部位に容易にとどまり、転移に伴う病巣を形作ります。
種類
あらゆるがんは、肺に転移する可能性があります。ただし、転移性肺がんとして頻度が多いものは、乳(にゅう)がん、耳鼻科領域のがん、肺(はい)がん、腎(じん)がん、食道(しょくどう)がん、胃(い)がん、大腸(だいちょう)がん、子宮(しきゅう)がん、精巣腫瘍(せいそうしゅよう)、骨肉腫(こつにくしゅ)などです。原発性肺がんでも、いったん血液の流れに乗って全身を循環したあとに肺に転移した病巣は、転移性肺がんとされます。
- 呼吸器の病気を小分類から探す
呼吸器の病気を読んだ人によく読まれている記事
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。