病気事典[家庭の医学]

いんぶがかゆい

陰部がかゆい

陰部がかゆいについて解説します。

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どのような状態か

陰部に限局してかゆみがある状態です。陰部とは、狭義には外性器(がいせいき)(男性の陰茎(いんけい)と陰嚢(いんのう)、女性の陰唇(いんしん)、腟口(ちつこう)など)の皮膚と粘膜を意味しますが、実際の臨床では、これに肛門周囲、鼠径部(そけいぶ)、恥骨部(ちこつぶ)を加えた範囲に生じたかゆみを、陰部のかゆみとして取り扱います。

陰部のかゆみも基本的には、発疹がないかゆみと発疹のあるかゆみに大別でき、この違いによって大まかな診断が可能になります。

しかし、掻破(そうは)(引っかくこと)による影響が生じやすいため、最初は発疹のないかゆみであっても、かき壊しによって湿疹化や二次感染を起こすこともよくあります。そのため、陰部のかゆみでは、かゆみの発生原因をはっきりさせることに、より主眼をおく必要があります。

必要な検査と疑われる病気

発疹のないかゆみでは、第一に限局性皮膚掻痒症(げんきょくせいひふそうようしょう)が疑われます。前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)、外陰萎縮(がいいんいしゅく)、腟炎(ちつえん)、汗むれや便・尿もれの刺激、神経過敏などが原因として潜んでいる場合があります。

発疹に伴うかゆみには、白癬(はくせん)(輪状の斑)やカンジダ症(白色のふやけた薄膜を伴う赤色斑)といった真菌(しんきん)(カビ)感染症によるものが最も多くみられます。そのほかには、毛穴や汗の出口の細菌感染、ウイルス感染症の単純疱疹(たんじゅんほうしん)(小さな水疱(すいほう)が集まる)があり、かゆみや痛がゆさが生じます。真菌や細菌感染症では、確定診断のために顕微鏡や培養の検査を行います。

感染症以外では、掻痒症に続発する慢性湿疹(ビダール苔癬(たいせん))、おむつかぶれ皮膚炎、陰毛部(いんもうぶ)の脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の発症が多くみられます。慢性湿疹に類似した皮膚がん(パジェット病)も陰部に好発するので、注意する必要があります。

家庭での対処のしかた

過剰にならない程度に陰部の清潔に心がけましょう。市販の外用薬でかゆみ症状が軽減することもありますが、根治治療を遅らせる可能性もあるので、症状が長引く場合は、すみやかに受診しましょう。

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