病気事典[家庭の医学]
たんじゅんほうしん(へるぺす)
単純疱疹(ヘルペス)<皮膚の病気>
単純疱疹(ヘルペス)<皮膚の病気>について解説します。
執筆者:
久留米大学医学部皮膚科学准教授 安元慎一郎
原因は何か
単純ヘルペスウイルス(HSV)の皮膚粘膜への感染によって発症します。単純ヘルペスウイルスには1型(HSV‐1)と2型(HSV‐2)の2種があり、HSV‐1は主に上半身の、HSV‐2は主に下半身の病変の原因になります。接触感染により伝搬します。
症状の現れ方
単純疱疹(ヘルペス)では、初感染(免疫のない人に初めて感染した場合)と再発(潜伏感染していたウイルスが再び増殖して病気を起こす場合)とにより症状が異なり、また、1型と2型によっても違いがあるため、非常に多様な症状を示します。
HSV‐1では、幼小児期の初感染の約9割は無症状で、一部に発熱と口腔内の小さなびらん、潰瘍が多発する歯肉口内炎(しにくこうないえん)が生じます。その後、人によって頻度はさまざまながら、小水疱が口唇のまわりの限られた範囲に出現する再発病変の口唇(こうしん)ヘルペスを生じることがあります。
HSV‐2では、その初感染のほとんどが性行為感染症として陰部に小水疱、びらん、潰瘍を比較的広範囲に起こす性器ヘルペス(陰部ヘルペス)として発症します。HSV‐2による性器ヘルペスは初感染ののち、限られた範囲の陰部に繰り返し小水疱をつくる再発病変がしばしばみられます。
そのほか、顔面、手指など全身どこにでも単純疱疹(ヘルペス)の病変がみられることがあります。
検査と診断
熱感を伴って口唇あるいは陰部などに小水疱がみられたら、本症を疑います。臨床的に診断できる場合が多いのですが、水疱の底にある細胞を採取して、ギムザ染色でウイルス感染によって起こる細胞の変化を検出するツァンク法や蛍光(けいこう)抗体法でウイルス抗原の検出を行うと、診断確定に役立ちます。
検査と診断
抗ウイルス薬のアシクロビル(ゾビラックス)またはバラサイクロビル(バルトレックス)の内服治療が中心です。再発病変では、症状はごく軽い場合もありますが、早期に治す意味からも抗ウイルス薬の外用などが行われます。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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