病気事典[家庭の医学]

せいきへるぺす(じょせい)

性器ヘルペス(女性)

性器ヘルペス(女性)について解説します。

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どんな感染症か

主に性行為によって、単純ヘルペスウイルス(HSV、単にヘルペスウイルスともいう)が性器に感染して起こる病気です。

発症のしかたには、初発型(急性型)と再発型があります。前者は初めて感染して発症する場合です。それが治っても、このウイルスは体内の神経節に潜伏し、何らかの刺激があると再び暴れ出し、神経を通って皮膚や粘膜に現れて病変をつくることがあります。これが再発型です。

症状の現れ方

初発型(急性型)

初感染の場合は、一般に症状が強いようです。外陰部(女性性器の外側の部分)の激しい痛み、排尿痛、鼠径部(そけいぶ)(ふとももの付け根)のリンパ節のはれや圧痛(押すと痛い)などが現れます。

しばしば発熱や頭痛も伴います。外陰部には、小さな浅い潰瘍性(かいようせい)の病変(皮がむけたような状態)が多発します。時には水疱性(すいほうせい)(水ぶくれ)の病変も現れます。

このような症状は、性行為などの感染の機会があってから2~7日くらいおいて発症するのが普通です。

再発型

再発の場合は、症状は比較的軽く、痛みはあまりなく、違和感、かゆみといった程度です。しかし、繰り返し再発すると大変わずらわしく、下着などが触れると痛んだりして、これらが精神的なストレスとなり、なかなか面倒です。

疲れたり、月経が近くなったりすると発症する人が多いようです。

検査と診断

典型的な場合は症状で診断できますが、そうでない時は単純ヘルペスウイルスを分離したり、DNAを検出したり、感染した細胞を検出して診断します。

治療の方法

単純ヘルペスウイルスに有効な薬剤(ゾビラックスやバルトレックス)を、初感染では5~10日間、再発では5日間程度、服用します。重症の場合は、入院して点滴静注も行われます。

性器ヘルペスは、これらの薬を使って最初は治っても、再発することが少なくありません。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、とくに2型の感染では再発頻度が高いことが知られています。1年に6回以上も再発する場合は、毎日継続的に抗ウイルス薬を服用する方法(再発抑制療法)が保険で行えるようになりました。この療法を行うと再発を抑えるばかりでなく、パートナーなどへの感染も防げるので、身心のストレスが軽減できます。

病気に気づいたらどうする

単純ヘルペスウイルスは他人にうつるため、早急に正しい診断をしてもらう必要があります。前述のような症状があったら早めに産婦人科を訪れてください。

とくに妊娠している人は、このウイルスが新生児に感染すると死亡することがあるので、早めに対処してください。

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