病気事典[家庭の医学]

かいてい はせがわしきかんいちのうひょうかすけーるでにんちしょうをしんだんする

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)で認知症を診断する

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)で認知症を診断するについて解説します。

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認知症の検査

認知障害があるかどうか、ある場合には、どの程度の症状かを調べるために、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、「認知機能検査(Mini-MentalState Examination =MMSE)」のいずれかのテストを行います。

認知機能検査

日本でもっとも一般的なものは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールです。

このテストの特徴は簡単である点で、検査に要する時間は10分間ほどです。医師が口頭で9つの質問をし、患者さんがこれに答えていきます。30満点中20点以下の場合、認知症の疑いがあると判断します。

認知機能検査は、主に欧米で使われているテストです。言語の質問だけでなく、紙を折ったり、文章、図形を書く問題なども含まれていて、認知機能や記憶力を簡単に測定できます。11項目の質問を行い、30点満点で23点以下の場合は、認知症などの認知障害のある可能性が高いと判断されます。

ただし、このテスト結果では、教育を受けた年月や年齢によって差が生じるため、基準点を上回っていても認知症である場合もありますので、個々の患者さんの背景を考慮しながら診断していきます。

このほか、「かなひろいテスト」を行う場合もあります。2分間の制限時間内で、文章の意味を読み取りながら、同時に文中の「あ」「い」「う」「え」「お」の5文字を探し、○をつけていきます。

このテストでは、2つの課題を同時に行いながら、両方に注意を分配する能力や制限時間内にものごとを成し遂げる能力などを調べます。

このほか、医師が独自に採用しているテストを行っている場合もあります。これらのテストで基準点に満たない場合は、病気や症状としてうつ病、せん妄、失語症、統合失調症などの可能性が考えられるため、認知症の症状の原因を探るための検査を行っていきます。

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

No. 質問内容 配点 記入
1 お年は、いくつですか?(2歳までの誤差は正解) 0・1  
2 今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?
(年、月、日、曜日 が正解でそれぞれ1点ずつ)
0・1  
0・1  
0・1  
曜日 0・1  
3 私たちが今いるところはどこですか?
(自発的に出れば2点)
5秒おいて、家ですか? 病院ですか? 施設ですか?
の中から正しい選択をすれば1点
0・1・2  
4 これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
(以下の系列のいずれか1つで、採用した系列に○印をつけておきます)
1:a)桜 b)猫 c)電車
2:a)梅 b)犬 c)自転車
0・1  
0・1  
0・1  
5 100 から7を順番に引いてください。
(100引く7は?と質問します)
「それから また7を引くと?」と質問します
*最初の答えが不正解の場合は打ち切ります
93 0・1  
86 0・1  
6 私がこれから言う数字を逆から言ってください。
「6、8、2」を逆に言ってもらいます。
「3、5、2、9」を逆に言ってもらいます
*3桁逆唱に失敗したら打ち切ります
2、8、6 0・1  
9、2、5、3 0・1  
7 先ほど覚えてもらった言葉を、もう一度言ってみてください。
(自発的に回答があれば各2点、もし回答がない場合、以下のヒントを与えます。正解であれば各1点)
a)植物 b)動物 c)乗り物
a:0・1・2  
b:0・1・2  
c:0・1・2  
8 これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。
(時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの)
0・1・2  
3・4・5  
9 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
答えた野菜の名前を右欄に記入します。

*途中で詰まり、約10 秒間待っても出ない場合にはそこで打ち切ります。
0~5個=0点、6個=1点、7個=2点、
8個=3点、9個=4点、10 個(以上)=5点
0・1・2  
3・4・5  
  合計得点

※30点満点中、合計点が20点以下の場合、認知症の疑いがあると判断されます。

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