病気事典[家庭の医学]
しんけいなんびょう(とくていしっかん)
神経難病(特定疾患)
神経難病(特定疾患)について解説します。
執筆者:
横浜市立大学医学部長・神経内科学教授
黒岩義之
天竜病院神経内科
西山治子
神経難病(特定疾患)の解説(コラム)
原因不明、治療方法が未確立で、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない病気、経過が慢性で、単に経済的な問題だけでなく、介護などに著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担が大きい病気のことを難病といいます。
このなかでも、診断基準が一応確立していて、しかも難治度や重症度が高く、患者数が比較的少ないために医療費の公費負担という手段をとらないと原因の究明、治療方法の開発などに困難を来すおそれのある病気を対象として、特定疾患治療研究事業が実施されています。
この事業の対象になる病気を一般的に特定疾患と呼んでおり、特定疾患に該当する神経系の病気としては、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病など)、亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)、脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺(しんこうせいかくじょうせいまひ)、大脳皮質基底核変性症(だいのうひしつきていかくへんせいしょう)、パーキンソン病)、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)、多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)、副腎白質(ふくじんはくしつ)ジストロフィー、多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)、重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)、ハンチントン病、もやもや病、スモンがあります。
2009年10月から新たに脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)、球脊髄性筋萎縮症(きゅうせきずいせいきんいしゅくしょう)、ミトコンドリア病なども追加されました。
特定疾患に該当する場合には、それぞれの特定疾患の診断書を主治医に記入してもらい、保健所に申請する必要があります。
特定疾患に認定されると医療保険による自己負担分が一部公費負担になりますし、さらに難病のために日常生活に著しい支障があると認定された重症患者さんや、スモン、プリオン病の患者さんは、医療費の自己負担分全額が公費負担になります。
神経難病の方やその介護を行っている家族への支援としては、特定疾患治療研究事業以外にも、神経難病患者在宅支援事業、重症難病患者入院施設確保事業、難病相談・支援センター事業などがあり、少しでも負担が軽くなるような対策が行われています。
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