病気事典[家庭の医学]
ういるすせいはいえん
ウイルス性肺炎
ウイルス性肺炎について解説します。
執筆者:
川崎医科大学呼吸器内科学講師
宮下修行
どんな病気か
ウイルスによる肺の病気は「かぜ症候群」として広く知られています。その多くは自然に治癒しますが、なかには下気道へと進展し肺炎を合併することがあります。
肺炎の原因には、(1)ウイルスそのものが肺炎を起こす場合、(2)ウイルスと細菌が混合感染し肺炎を起こす場合、(3)ウイルスが先行感染し、これに続いて細菌が二次的に肺炎を起こす場合、の3つがあります。一般的には、ウイルス単独による肺炎よりも細菌感染を合併症した肺炎が多く、純ウイルス肺炎をみることは少ないです。
原因は何か
ウイルス性肺炎は小児ではしばしばみられ、成人では比較的まれな病態です。また、小児期では年齢による差が著明です。
健常な成人に発症した肺炎の原因ウイルスに関する検討では、インフルエンザウイルスが最も多く、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスがこれに続きます。また、現在は制圧されていますが、世界を震撼させた新型コロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS)は忘れてはならないウイルスです。
以下に、ウイルス性肺炎のなかで最も重要なインフルエンザウイルス肺炎について述べます。
インフルエンザウイルス肺炎(はいえん)
どんな病気か
インフルエンザは学童期に罹患率が高く、それが家庭内で成人や高齢者に感染して一般社会へ拡散します。逆に、高齢者は罹患率が低いものの死亡率が高いのが特徴で、死亡する人のほとんどを高齢者が占める傾向があります。
インフルエンザの大流行時では、非流行時に比べ死亡数が著しく増加する傾向があり、この超過死亡数の約90%、入院者数の半数は高齢者で、その主な原因は肺炎合併のためと考えられています。 高齢者で最も頻繁にみられる病型は二次性細菌性肺炎で、純インフルエンザ肺炎は少ないとされています。
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