病気事典[家庭の医学]
ないぶんぴついじょうしょう
内分泌異常症
内分泌異常症について解説します。
執筆者:
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学講師
岡野善行
先天性甲状腺機能低下症(せんてんせいこうじょうせんきのうていかしょう)(クレチン症(しょう))
どんな病気か
先天的な甲状腺ホルモンの不足のために、体の発育や知能が障害される病気です。甲状腺が母胎内でうまく形成されない場合や、甲状腺ホルモンを合成する酵素の異常によって発症します。
症状の現れ方
新生児期をすぎると不活発、便秘、嗄声(させい)(しわがれ声)、巨舌(きょぜつ)、臍(さい)ヘルニア、低体温、乾燥肌などの症状を示し、やがて、低身長、特有の顔貌(がんぼう)、知能障害が認められるようになります。
治療の方法
甲状腺ホルモン薬の早期治療により、知能障害を予防することが可能です。
先天性副腎過形成(せんてんせいふくじんかけいせい)
どんな病気か
副腎皮質ホルモンを合成する酵素の異常によって、コルチゾールの産生が障害され、逆に前駆ステロイドや男性ホルモンが過剰分泌されます。
症状の現れ方
この病気の90%を占める21水酸化酵素欠損症では、出生時より色素沈着があり、女児では外性器の男性化が、男児では陰茎(いんけい)肥大が認められます。また、体重増加不良、哺乳不良、嘔吐、不活発、脱水などの症状とともに、体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れ、ショックに陥ることもあります。
治療の方法
ヒドロコルチゾンの補充と、鉱質ステロイドや塩が補充されることもあります。外性器異常については形成手術が行われます。早期治療により良好な発育が期待されます。
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情報提供元 :
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