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遺伝子クローニングと遺伝子増幅(PCR) 病気事典[家庭の医学] - メディカルiタウン


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病気事典[家庭の医学]

いでんしくろーにんぐといでんしぞうふく(ぴーしーあーる)

遺伝子クローニングと遺伝子増幅(PCR)

遺伝子クローニングと遺伝子増幅(PCR)について解説します。

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遺伝子クローニングと遺伝子増幅(PCR)の解説(コラム)

遺伝子クローニング

 2004年12月に発表されたヒトゲノム計画によると、ヒトの遺伝子の総数は約2万2000と推定されています。ヒトの細胞からDNAを取り出すことは簡単ですが、そのなかのひとつの遺伝子のはたらきを明らかにするには、そのままでは何もできません。目的とする遺伝子をもっているDNAの断片を分離して、しかも増幅するというステップが必要です。

 これが遺伝子クローニングという方法で、これには細胞内で増殖できるDNAであるベクターを用います。DNAを制限酵素で小さな断片に切り分け、ベクターに連結して宿主(しゅくしゅ)となる細胞にもどしてやります。この段階で目的の遺伝子を含むDNAの断片は、他の大部分の不要なDNAから分離されます。

 次に組み換えDNAをもつ宿主細胞(組み換え体)を増殖させると、目的のDNAも増幅できます。細菌などでは、アミノ酸配列の情報をもつ構造遺伝子はひとつながりのDNAです。そのためベクターに結合して適当な宿主の細胞にもどしてやれば、遺伝子がmRNAをつくって蛋白質が生産されるので、目的の遺伝子がクローニングできたかどうかは比較的簡単にわかります。

 しかし、ヒトなどの遺伝子にはアミノ酸配列の情報をもたないイントロンがあるので、全体として大きいこと、またエクソンが分断されていることが遺伝子クローニングには障害になります。そこで、エクソンを含むDNA断片をベクターを用いてクローニングしてから、mRNAに対応するDNAをもつ組み換え体を選択するというような手段が用いられています。

 また、完成したmRNAはイントロンを含まないので、mRNAからそれに対応するDNA(相補的DNA:cDNA)を酵素を用いて合成してクローニングするという方法も用いられています。目的の遺伝子のcDNAが分離できれば、それを調べて遺伝子がつくる蛋白質のアミノ酸配列を決定できます。

 ヒトなどの高等生物の遺伝子クローニングでは、このようにDNAから直接的にという方法と、mRNAから間接的にという方法がとられていて、両方の研究から遺伝子の全体像が明らかにされています。

遺伝子増幅(PCR)

 遺伝子がクローニングできると、そのDNAのもつ遺伝情報であるヌクレオチド配列を決定するのは比較的簡単です。ヌクレオチド配列がわかればPCRという方法で特定のDNAの部分だけを増幅して調べることができます。

 PCRには2種類の20〜30ヌクレオチドの長さの合成DNA(プライマー)が必要です。配列のわかっている2本鎖DNAのそれぞれのヌクレオチド配列と同じ配列をもつプライマーを、増幅したいDNA部分の両端に設定します。温泉などに生息する耐熱性細菌から取り出したDNAポリメラーゼは、100℃近い温度でも長時間安定してDNAを複製することができます。

 細胞から取り出した鋳型(いがた)になるDNAと、2つのプライマーと耐熱性DNAポリメラーゼを試験管のなかに入れ、温度と時間をコントロールできる器械にセットします。たとえば94℃で30秒温度を加えると、鋳型として入れたDNAは水素結合が切断され1本鎖に分かれます。55℃に冷やすとプライマーは対応する鋳型DNAと水素結合して部分的に2本鎖構造をとります。耐熱性DNAポリメラーゼの反応に適した72℃に温度を上げると、プライマーの結合した場所からDNAの合成が始まります。この94℃、55℃、72℃のサイクルを30回繰り返すと、目的のDNA部分だけが数億倍に増幅します。

 遺伝子クローニングという複雑な方法をとらなくても、目的のDNAだけを微量な鋳型DNAから増幅して分離できるのがPCRです。たとえばがん組織の一部から鋳型となるDNAを取り出し、PCRでがんの原因になる遺伝子を増幅してそのヌクレオチド配列を決定し、その遺伝子のなかに起こっている突然変異を見つけるというようなことができることになります。

 遺伝病の原因遺伝子だけでなくさまざまな病気の原因になる遺伝子の突然変異を調べるという遺伝子診断なども、このPCRという方法が可能にしています。

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