病気事典[家庭の医学]

けんこうにほんにじゅういちについて

健康日本21について

健康日本21についてについて解説します。

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2010年を目指した健康づくり運動として、21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)が2000年度から開始されました。

健康日本21の基本理念は、「すべての国民が健康で明るく元気に生活できる社会の実現のため、壮年死亡と、健康に関連する生活の質の低下を軽減することを目指し、一人ひとりの取り組みを健康に関する機能をもった社会のさまざまな主体が、それぞれの特徴のある機能を生かして支援する環境をつくり、全体の健康づくりが総合的に推進されること」となっています。生命の延長だけでなく、生活の質(QOL)を重視すること、生涯にわたる健康づくりの視点を取り入れること、環境づくりの重視などを特徴としています。

健康日本21では、大きな課題となっている生活習慣や生活習慣病を(1)食生活・栄養、(2)身体活動・運動、(3)休養・こころの健康、(4)たばこ、(5)アルコール、(6)歯の健康、(7)糖尿病、(8)循環器病、(9)がんの9つの分野で制定し、それぞれの取り組みの方向性と目標を示しています。

この健康日本21を中核とする国民の健康づくり・疾病予防をさらに積極的に推進するため、医療制度改革の一環として2002年に「健康増進法」が制定されました。

さらに、2013年度からは今後の10年間の計画として、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21(第2次))」として策定されました。その新基本方針は以下のとおりです。

(1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小

生活習慣病の予防、社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上等により、健康寿命の延伸を実現するとともに、あらゆる世代の健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築することにより、健康格差の縮小を実現する。

(2)生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)

がん、循環器疾患、糖尿病及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に対処するため、一次予防に重点を置いた対策を推進するとともに、合併症の発症や症状の進展等の重症化予防に重点を置いた対策を推進する。

(3)社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上

乳幼児期から高齢期まで、それぞれのライフステージにおいて、心身機能の維持及び向上につながる対策に取り組むとともに、子どもの頃から健康な生活習慣づくりに取り組むほか、働く世代のメンタルヘルス対策等により、ライフステージに応じた「こころの健康づくり」に取り組む。

(4)健康を支え、守るための社会環境の整備

国民が主体的に行う健康づくりの取組を総合的に支援するほか、地域や社会の絆、職場の支援等が機能することにより、社会全体が相互に支え合いながら、国民の健康を守る環境を整備する。

(5)栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善

上記(1)から(4)までの基本的な方向を実現するため、栄養・食生活など各分野に関する生活習慣の改善が重要であり、ライフステージや性差、社会経済的状況等の違いに着目し、生活習慣病を発症する危険度の高い集団などへの働きかけを重点的に行うとともに、地域や職場等を通じた国民への働きかけを進める。

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