病気事典[家庭の医学]
けいたいでんわけんこうしょうがい
携帯電話健康障害
携帯電話健康障害について解説します。
執筆者:
東京慈恵会医科大学環境保健医学講座教授
柳澤裕之
携帯電話健康障害の解説(コラム)
電磁波は、電離電磁波(でんりでんじは)と非電離電磁波に分けられます。電離電磁波は、X線やγ(ガンマ)線などの放射線です。非電離電磁波は、ラジオ波とマイクロ波、そして光に分けられます。
電波というと通常、ラジオ波を指します。ラジオ波帯域は、周波数3KHz〜300MHz、波長100km〜1mの領域の波です。マイクロ波帯域は周波数300MHz〜30GHz、波長1m〜1mmの領域の波です。携帯電話には、900MHz前後のマイクロ波が用いられます。
かつて、産業職場では、体温の上昇(熱作用)を引き起こすような高いレベルのマイクロ波が用いられ、白内障(はくないしょう)や無精子症(むせいししょう)が問題になりました。しかし、現在では職業的曝露(ばくろ)基準値が見直され、低く設定されているために、そのような健康障害はみられなくなりました。
影響があるとすれば、携帯電話を含めて、熱作用を示さない低レベルのマイクロ波を使用する場合です。
近年、この熱作用を示さない低レベルのマイクロ波に発がん性があるのか、また生殖器系、脳神経系などに影響を及ぼすのかどうかが調べられています。現在のところ、生殖器系や脳神経系への影響はほとんど否定的です。
しかし、発がん性については、脳腫瘍(のうしゅよう)や造血器腫瘍(ぞうけつきしゅよう)などの悪性腫瘍の発生との因果関係を肯定する報告や否定する報告があり、いまだ結論は得られておりません。今後、さらに研究を必要とする領域です。
中毒と環境因子による病気を読んだ人によく読まれている記事
中毒と環境因子による病気でよく読まれている解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。