病気事典[家庭の医学]
たいきおせんによるこきゅうきびょう
大気汚染による呼吸器病
大気汚染による呼吸器病について解説します。
執筆者:
東京慈恵会医科大学環境保健医学講座教授
柳澤裕之
どんな病気か・原因は何か
大気汚染の原因となる物質には、硫黄酸化物(いおうさんかぶつ)(S
硫黄酸化物
S
窒素酸化物
N
一酸化炭素
自動車の排ガスやたばこの煙に含まれます。血液中でヘモグロビン(Hb)と結合し、カルボキシヘモグロビン(CO‐Hb)を形成する結果、酸素(
浮遊粒子状物質
粉塵(ふんじん)は、自動車の排ガスや工場から排出される煙のなかに含まれる炭粉や煤(すす)です。粉塵のなかで、10μm以下の物質を浮遊粒子状物質(SPM)と呼び、吸入すると慢性気管支炎や気管支喘息だけでなく、塵肺症(じんぱいしょう)や肺がんの原因にもなります。また、最近では、花粉症の発症にも関係すると考えられています。
光化学オキシダント
大気中のS
症状の現れ方
(1)気管支喘息
大気汚染により、発作の誘発、頻度の増加、症状の悪化が起こります。主に夜間から早朝にかけて喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難が起こり、重症例ではチアノーゼや意識喪失などが現れることがあります(気管支喘息)。
(2)慢性気管支炎
痰を伴う咳が続き、大気汚染により悪化します(慢性閉塞性肺疾患)。
(3)肺気腫
主な症状は、息切れや労作時(ろうさじ)の呼吸困難ですが、多くの場合、咳や痰を伴います。大気汚染により症状が悪化します(慢性閉塞性肺疾患)。
病気に気づいたらどうする
まず、内科を受診してください。指示がある場合には、呼吸器内科の専門医を受診してください。症状の悪化が起こらないようにするには、可能なら大気汚染のない地域に引っ越すことが必要です。
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