病気事典[家庭の医学]
どくじゃこうしょう
毒蛇咬傷
毒蛇咬傷について解説します。
執筆者:
神戸女子大学公衆衛生学教授
栗原伸公
原因は何か
マムシ、ハブのヘビ毒には、出血作用、筋融解(ゆうかい)・壊死(えし)作用、血管拡張・透過性(とうかせい)亢進作用、溶血(ようけつ)作用があり、局所に出血やはれ、疼痛、全身に循環障害などを起こします。ヤマカガシのヘビ毒には、出血作用、血液凝固促進作用、溶血作用があり、局所に出血、全身に出血傾向やDIC(播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群)などを起こします。
症状の現れ方
マムシ、ハブでは、かまれた直後から疼痛、腫脹(しゅちょう)(はれ)、出血が生じ、疼痛、腫脹が体の中枢のほう(心臓のほう)へと広がっていきます。これが大きいと重症といえ、循環血液量の減少などによる低血圧やショックが生じ、さらには腎不全や筋膜内の圧が高まることによる筋肉の壊死が起こります。
ヤマカガシでは、かまれた直後は疼痛、腫脹、出血は軽いのですが、30分~2時間後から持続的な出血がみられ、以後止まりません。疼痛は遅れて起こります。腫脹はあまり目立たないことが多いようです。重症例では全身に出血傾向がみられ、腎不全やDICが起こります。
検査と診断
局所に、牙痕(がこん)(かまれたあと)、疼痛、腫脹、出血という特徴的な所見がみられます。とくにヘビ毒が体内に入った証拠を示す出血が重要です。全身症状については、血液検査により溶血(ようけつ)、筋破壊、腎機能、血液凝固能などを調べ、また尿検査により溶血、腎機能を調べます。
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情報提供元 :
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