病気事典[家庭の医学]
らんそうかじょうしげきしょうこうぐん
卵巣過剰刺激症候群
卵巣過剰刺激症候群について解説します。
執筆者:
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科教授
西井 修
卵巣過剰刺激症候群の解説(コラム)
排卵誘発剤を使用することにより、多数の卵胞が大きく発育して卵巣が腫大し、腹水貯留などを来す状態です。重症の場合は、腹部膨満感、腹痛、脱水症状、胸水貯留を伴い、血液が固まりやすくなる等の凝固系異常を起こすようになります。また、腫大した卵巣が捻転(ねんてん)を起こすこともあります。体外受精だけでなく、不妊治療に際して排卵誘発剤を使用する際の重篤な合併症のひとつです。
予防は、排卵誘発剤を使用しないことですが、不妊治療を行ううえで注射薬の排卵誘発剤(ゴナドトロピン製剤)が必要な場合は、投与中に慎重な管理を行います。最近は自己注射可能な排卵誘発剤が承認されたこともあり、定期的な卵胞発育のチェックが必要です。
治療は、過度な腹水が貯留している場合は、入院して安静と補液を行います。さらに蛋白質(たんぱくしつ)の補給が必要となる場合もあります。水分が血管内から腹水へ移動することから、血液は濃縮状態となっており、血栓症や賢不全などの重篤な状態になることもあります。
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