病気事典[家庭の医学]

にゅうじゅうろう

乳汁漏

乳汁漏について解説します。

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どんな病気か

産褥期(さんじょくき)以外に起こる乳汁の分泌を指します。乳汁以外にも血液や膿汁(のうじゅう)が分泌されることもあり、何もしなくても気づくほどの乳汁漏と、軽くまたは強く乳頭を圧迫しないと分泌がみられないものもあります。通常両側性が多いのですが、時に片側だけにみられることもあります。

原因は何か

乳汁を産生するプロラクチンというホルモンの過剰分泌が原因として最も考えられます。脳下垂体(のうかすいたい)のプロラクチン産生腫瘍、プロラクチン分泌を刺激する薬物の服用(主に向精神薬、抗うつ薬)などがその原因としてあげられますが、原因が不明のプロラクチン分泌過剰もあります。

症状の現れ方と検査・診断

プロラクチンの分泌異常は、血液中のプロラクチン濃度を測定して診断します。プロラクチン値が標準値を超えているものを高プロラクチン血症といい、通常乳汁漏や無月経などの卵巣機能障害を伴っています。両者がみられる場合は、乳汁漏出性無月経(にゅうじゅうろうしゅつせいむげっけい)といいます。一般に血中プロラクチン値が高いほど乳汁漏出の発現率や分泌量は増えますが、一致しないことも少なくありません。その理由として、乳汁が排出されるかどうかは、プロラクチン値以外に乳腺のプロラクチンに対する感受性も関係するからです。

経産婦ではプロラクチン分泌が正常でも両側の乳汁漏がみられることもあります。この場合は心配ありません。片側性のものならば乳腺自体に原因があることもあります。さらに、乳汁漏を気にして乳頭の圧迫を繰り返すと、それがさらにプロラクチンを分泌させる刺激となって乳汁漏が持続するということもあります。

検査の結果、血中プロラクチン値が正常範囲にあれば、乳腺局所の病変はないかどうかをよく調べます。

治療の方法

プロラクチン分泌や月経が正常で、しかも本人が耐え得る程度なら経過をみますが、不快ならばドーパミン作動薬によりプロラクチン分泌を抑えると症状は消えます。

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