病気事典[家庭の医学]

ほねとかんせつのえんしょう、かんせん〈そうろん〉

骨と関節の炎症、感染〈総論〉

骨と関節の炎症、感染〈総論〉について解説します。

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炎症とは

もともと炎症とは、有害な刺激や危険な異物を察知した時に起こる、体が起こす防御反応です。具体的には、細菌やウイルスなどの病原体、物理的・化学的刺激、アレルギー反応などがあります。これらの刺激から体を守り、元の状態にもどすために、主に免疫のシステムが働いて、局所の痛み、はれ、熱感などを引き起こすわけです。打撲(だぼく)・捻挫(ねんざ)・骨折などの外傷も物理的刺激に対するこの炎症反応により治癒します。

この刺激が強い時は、炎症もそれだけ大きくなり、体の損傷も大きくなります。また、炎症が長引くと、損傷も大きくなってしまい、病的な状態を引き起こすことになります。

感染症

骨や関節においても、さまざまな炎症を起こす疾患があります。代表的な疾患は、細菌などの病原体によって起こる骨や関節の感染症です。最近では、抗生物質の進歩によって治療効果もかなりよくなってきましたが、さまざまな問題があり、治療が困難な場合もまだみられるのが現状です。

まず、抗生物質の使用の増加によって、抗生物質が効きにくいMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の比率が高まっているのは、非常に大きな問題です。また、注射、ブロック、手術などが増えることにより、細菌が関節などの体内に侵入する機会が増えています。とくに整形外科領域では、人工関節などの金属を埋め込む手術が増えており、術後の感染は大きな問題となります。

さらに、免疫抑制剤や生物学的製剤などの薬物療法による治療が発達して、治療効果が進歩しましたが、それだけ、感染に対する抵抗力が落ちている患者さんが増えています。

関節リウマチおよびその類似疾患

また、関節炎(かんせつえん)や脊椎炎(せきついえん)を起こす疾患である、関節(かんせつ)リウマチやその類縁疾患(乾癬性(かんせんせい)関節炎強直性(きょうちょくせい)脊椎炎など)があげられます。これらは原因が不明で免疫の異常によって起こると考えられており、免疫とは本来は細菌やウイルスなどの外敵を排除するシステムですが、この免疫の異常によって自分の体の一部を外敵と錯覚して排除しようとしてしまうわけです。

最近、これらの病気に対して、サイトカイン療法によって画期的な治療効果がみられており、注目を浴びています。

その他、結晶などの化学的刺激で引き起こされる関節炎に痛風偽痛風などがあります。以下、これらの代表的な疾患について解説します。

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