病気事典[家庭の医学]

くすりのはんばいげんばはどうかわるか

薬の販売現場はどう変わるか

薬の販売現場はどう変わるかについて解説します。

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解説

登録販売者が登場すると、一般医薬品を販売する現場はどう変わるのか。まず薬を扱う業態を整理してみましょう。

・薬局……医師の処方箋に基づいて薬剤師が調剤する。一般薬医薬品も扱うことができる。

・一般販売業……薬剤師がいて、一般医薬品を扱う。調剤室を持たない。

・薬種商販売業……都道府県の認めた「薬種商」がいて、一般医薬品の一部を販売することができる。

・特例販売業……薬局・薬店の普及が十分でない辺地などで、知事が指定した最小限の医薬品を販売することができる

・配置販売業……置き薬屋さんのこと。家庭に薬を預けておき、使用した分だけ代金を支払うというシステム。知事が指定した品目の医薬品を販売することができる

以上のうち、「薬種商」は廃止されることになり、登録販売者にシフトすることになります。薬種商販売業者を、登録販売者とみなすわけです。

「特例販売業」は、これまで通りの販売を認めることにします。もっとも、扱う医薬品も低リスクの限定的な品目(80成分)なので、安全面ではほとんど問題になりません。

配置販売業は、登録販売者の資格を取るよう推進しますが、経過措置として、すでに配置販売業を行っているところに関しては、現在認められている医薬品成分の範囲内について継続して販売することを認めます。しかし配置販売業のなかでも、登録販売者であれば扱うことのできる品目も多いし、登録販売者でないものと比べ、当然信用度も上がってくるに違いありません。

“置き薬”の元祖、富山は、登録販売者をめぐって動きが活発です。富山県薬業連合会は、「顧客の信用を得るには登録販売者の資格が必要」として、資格試験の受験を勧めています。

健康を守る制度の成熟が望まれる

さて、以上のような従来型とは別に、新たなビジネスチャンスを求めて、ドラッグストア、コンビニ、スーパーマーケットなどが、新規参入を狙っています。ドラッグストアチェーンも、採用が難しく給与の高い薬剤師に代わって登録販売者で代替できれば、経営的に大きなメリットになるということで、社員を勉強させて資格を取ることを促しているようです。

コンビニは、これまで扱えなかった一般医薬品を24時間販売できることによって業態のイメージチェンジを図ることができるかもしれません。薬は、「夜中に販売してほしい」品目ナンバーワンということもあって、登録販売者の養成に力を入れるコンビニチェーンも多いようです。

筆者は、登録販売者が薬の世界の一角で、医療の安全を担ってもらいたいと思います。単なる“セールスマン”や“セールスウーマン”であってほしくありません。顧客に医薬品の情報を提供するための知識と、コミュニケーション技術を磨いてほしいと思います。市民の健康を守る人として、そして制度としての成熟を願っています。

いわゆる大衆薬にもリスクの高いものもあることを自覚して、ドラッグストア、コンビニで薬を買う時、「登録販売者」に相談することも視野に入れておきましょう。

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