病気事典[家庭の医学]

おおすぎてまようしんりょうかえらび

多すぎて迷う診療科選び

多すぎて迷う診療科選びについて解説します。

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解説

最近は、かかりつけ医を持つ人が多くなりました。かかりつけ医のある人は、かかりつけ医を通して適格な専門医を紹介してもらうのがよいと思いますが、現実問題としては、突然体調を崩し、いざどの医療機関を受診すべきか、迷ってしまうというのが正直なところでしょう。まずぶつかるのが、はたして自分は何科を受診すべきかという問題です。いざ直面すると、「こんなに診療科は多いのか」と、数の多さ、複雑さに惑わされます。

たとえば、眼科なら目の病気、歯科なら歯の病気を扱っていることは、素人にも一目瞭然にわかります。ところが整形外科と形成外科、あるいは精神科と神経科はどう違うのか、のどのあたりが痛い時は耳鼻咽喉科なのか、呼吸器科なのか、また小児科は何歳までの子どもを対象にしているのか、いきなり聞かれれば多くの人は戸惑うにちがいありません。

標榜(ひょうぼう)できる診療科は38もある

現在、医療法第70条で院外表示が認められている診療科は、38科目もあります。医科系・歯科系に大別して列記すると表1のようになります。

日本は自由標榜制をとっているので、医師免許さえ取得していればどの診療科を掲げても自由です。1人の医師が複数の診療科を掲げることも可能です。ただし麻酔科だけは、厚生労働大臣の許可を受けた場合のみ標榜できることになっています。麻酔医の資格を取得した医師がいなければ標榜できません。

もちろん医師免許と歯科医師免許は制度上は全く別のものですから、医師が歯科診療を、歯科医師が内科や外科など医科の診療をすることはできません。

標榜診療科目の見直しは

「診療標榜科目」は一覧表にしていますが(表1 )、厚生労働省の標榜科目の見直しによって、広告や看板などでは、臓器・身体の部位、症状・疾患、患者の特性などを組み合わせて表記することができるようになりました。

たとえば、臓器と内科(診療標榜科)を組み合わせる場合では、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、心臓内科、気管食道内科、胃腸内科、腎臓内科、腫瘍内科……など、厚生労働省は30余を想定しています。

外科も実にさまざまです。呼吸器外科、心臓血管外科、心臓外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、気管食道外科、肛門外科、脳神経外科、腫瘍外科、美容外科……など、30近くを想定しています。

内科(ペインクリニック)、内科(循環器)、内科(感染症)、外科(内視鏡)、泌尿器科(不妊治療)、産婦人科(生殖医療)というように、診療標榜科目のあとにカッコ書きで説明する表記も認められています。

診療標榜療科目にしても、広告や看板の表記は、素人にはわかりにくいものです。一昔前にはたとえば、診療標榜科目のなかに「リウマチ科」はありませんでした。当時は、リウマチが疑われると、どの科を受診するかわかりませんでした。内科を受診すると「整形外科へ行ってください」、整形外科を訪れると「いや内科です」といった感じで、患者は右往左往していたということです。

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