病気事典[家庭の医学]

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「ゲット・ジ・アンサーズ」を実行する

「ゲット・ジ・アンサーズ」を実行するについて解説します。

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「ゲット・ジ・アンサーズ」を実行する

「ゲット・ジ・アンサーズ」(“Get the answers”)とは「答えてもらおうよ」という意味です。

1983年にアメリカで始まった運動で、薬について医師や薬剤師に「遠慮なく質問して、答えてもらおうよ」というキャンペーンです。80年代の日本は、医師に薬のことを聞くことがなかなか難しかった時代です。

1996年から日本薬剤師会はアメリカとまったく同じキャッチフレーズを使って運動を始めています。薬のことは何でも薬剤師に聞いてください、と患者に訴えかけています。

日本薬剤師会は、薬を上手に使用するために、質問する時のポイントとして次の5つをあげています。

(1)この薬の名前は?

(2)何に効くの?

(3)服用する前に注意することは?

(4)副作用は?

(5)ほかの薬や食べ物とののみ合わせは?

(1)の薬の名前については、医薬分業になって処方箋をもらえばわかるようになりました。

(2)については、当然ながら何に効く薬か知っておく必要があります。血圧を下げる薬であるとか、痛みを抑える薬であるとかです。

これは日本薬剤師会のホームページで注意していることですが、狭心症の発作を予防する薬で「貼り薬」の形をしているものがあります。皮膚に貼っておけば有効成分が皮膚を通して吸収され、心臓の血管にはたらくのです。この貼り薬を、「狭心症に効く」ということを知らないで、肩こりや腰痛に効く薬であると誤解すると大変なことになります。実際に腰痛の薬だと誤解して使ったお年寄りがいたそうです。命に関わることもあるといいます。

(3)については、「毎食後3回服用」とか、「1日2回服用」というように薬ののみ方はいろいろあります。1日に2度しか食事をとらない人はどうすればいいのか、医師や薬剤師に納得のいくまで質問するべきです。

(4)の副作用については、あらかじめ処方された薬の副作用を知っておけば、それらしき症状が出た場合、いち早く医師や薬剤師に相談することができます。副作用かなと思ったら、すぐに医師や薬剤師に連絡すべきです。薬の副作用は軽いものから、時に命に関わる重篤なものまであることを忘れてはなりません。

(5)については、ある薬とある薬をのみ合わせると薬が効かなくなったり、逆に効き目が強くなったりします。このことを薬の「相互作用」といいます。薬と食品との間にも相互作用があります。時には生命を奪う相互作用もあるのです。生命を奪わないまでも、同時に多くの種類の薬をのむと、相互作用が多く現れる危険性があるといわれています。

「のみ合わせ」は薬同士ばかりとは限りません。食品や飲み物との食べ合わせやのみ合わせも、思いがけない作用をみせることがあります。

脳血栓などの治療や予防に用いる抗血栓薬(血液を固まりにくくする薬)でワルファリンカリウムという薬があります。この薬と納豆を一緒に摂ると、薬の効き目が弱くなります。納豆菌は腸のなかでビタミンKをつくりだし、そのビタミンKがワルファリンカリウムの作用を妨げるのです。また、ある種の高血圧の薬とグレープフルーツジュースを一緒にのむと、薬の作用が増強し、血圧が下がりすぎる危険性があることが知られています。

アルコール類とののみ合わせも注意しましょう。一部の糖尿病薬、精神安定薬、睡眠薬、抗うつ薬などと一緒にのむと、危険な場合があります。

医師や薬剤師にこれだけは伝えよう

医師の診察の時、症状などを医師に伝えるのはもちろんですが、薬を安全に使うために、次のようなことは必ず伝えるようにしましょう。

(1)女性の場合、妊娠の有無(最終月経開始日)

(2)女性の場合、授乳中であるか

(3)ほかに治療中の病気など(眼科や歯科も含む)があればその病名

(4)ほかにのんでいる薬……大衆薬も含めて具体的に名前まで

(5)薬などでのアレルギーや副作用の経験……具体的にどんな薬で、どんな症状が出たか

この5項目は薬剤師にも伝えましょう。同じことを医師に伝えたからいいだろう、と考えるかもしれませんが、薬の安全のためには二重、三重のチェックが大切なのです。とりわけ薬剤師は貴重なチェッカーなのです。

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