病気事典[家庭の医学]
ひりんきんせいにょうどうえん
非淋菌性尿道炎
非淋菌性尿道炎について解説します。
執筆者:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学教授
公文裕巳
どんな感染症か
尿道炎は、性行為を介して感染する性感染症(STD)で、男性に発症します。
原因となる微生物は、淋菌(りんきん)と淋菌以外に大別され、前者が淋菌性、後者が非淋菌性尿道炎に分類されます。これらの微生物は、女性の腟だけでなく咽頭にも棲息することがあるので、オーラルセックスでも感染します。
非淋菌性尿道炎の約半数がクラミジアによる感染で、そのほか、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナスなどが原因微生物になります。
症状の現れ方
クラミジアによる尿道炎は、淋菌性に比べて潜伏期間が約1~3週間と長く、比較的ゆっくりと発症します。主な症状は尿道の不快感や排尿痛で、また尿道から漿液性(しょうえきせい)(比較的さらさらとした)の分泌物が排出されます。
検査と診断
尿道炎の診断は、尿か尿道分泌物を顕微鏡で観察して白血球を確認します。通常は、原因微生物を決定するために培養検査を行いますが、クラミジアは一般施設での培養は難しく、通常は遺伝子や抗原の検査で確認します。
治療の方法
クラミジアによる尿道炎の治療は、クラミジアに抗菌力をもつ抗菌薬を内服します。内服期間は1~2週間です。1回のみの服用で効果のある薬剤も登場しています。
感染の原因となったセックスパートナーが特定できる場合は、パートナーもいっしょに治療する必要があります。治癒が確認されるまで性行為は禁止です。
病気に気づいたらどうする
病院を受診し、尿道炎の治療を開始するとともに、セックスパートナーに病気のことを伝えて医師の診察を受けることを促します。
尿道炎は、性行為のあらゆる過程で感染する可能性があり、前述したようにオーラルセックスでも感染します。予防法として、性行為の最初からコンドームを使用することが肝要です。
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情報提供元 :
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