病気事典[家庭の医学]

かんぴろばくたーちょうえん

カンピロバクター腸炎

カンピロバクター腸炎について解説します。

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どんな感染症か

カンピロバクター属の細菌による腸の感染症です。カンピロバクター属のなかで、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリの2種類の細菌が原因になる場合がほとんどです。

これらのカンピロバクターはいろいろな動物が保有しており、菌が混入した食べ物(肉が多い)や飲み物(生乳や水が多い)を食べたり飲んだりして感染します。さらに、菌で汚染された器具で調理した食べ物から感染することもあります。

症状の現れ方

菌で汚染された飲食物を食べたり飲んだりして1~8日くらい経過したあとに、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が現れます。下痢の程度は軟便から水様便までさまざまで、血便になることもあります。

検査と診断

カンピロバクター属以外の病原体でも同様の症状を起こすので、ほかの病原体による腸炎と区別する必要があります。便からカンピロバクター属の菌を分離することで診断します。

治療の方法

脱水を防止するために、下痢をしていても水分をとることをすすめます。自然に治ることが多く、薬剤を服用せずに、あるいは整腸薬を服用して経過を観察することもよくあります。

中等症から重症の場合は抗生物質で治療することもあります。抗生物質を使用する場合は、マクロライド系の薬剤が有用です。脱水がひどければ、点滴で水分を補うこともあります。

病気に気づいたらどうする

改善しないようなら、受診することをすすめます。とくに食品を扱う人は受診するようにしてください。成人の場合は内科(胃腸科、消化器内科)、感染症科を、小児の場合は小児科を受診するとよいでしょう。下痢止め薬や手持ちの抗菌薬は服用せず、受診してください。

ほかの人への感染を防ぐには、よく手を洗う必要があります。石鹸で十分に手を洗い、水道水できれいに洗い流すようにします。

関連項目

急性胃腸炎

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