病気事典[家庭の医学]

びたみんいーけつぼうしょう

ビタミンE欠乏症

ビタミンE欠乏症について解説します。

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ビタミンEのはたらき

脂溶性(しようせい)ビタミンであるビタミンEには、生体膜に存在する不飽和(ふほうわ)脂肪酸のフリーラジカルによる過酸化を防止する作用があります。そのために、ビタミンEには抗動脈硬化作用、免疫増強作用や抗がん作用などの健康に有益な作用があると考えられています。ビタミンEの抗酸化作用に伴う抗不妊作用も知られています。

原因は何か

胆汁がたまることなどによる脂肪吸収障害、未熟児の場合や無β(ベータ)リポ蛋白血症によってビタミンEの運搬障害がある場合などの特殊な状況下で、ビタミンE欠乏症がみられます。また、不飽和脂肪酸の過剰投与時に発症したという報告があります。

症状の現れ方

過酸化脂質が赤血球膜に増えるために溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)が現れます。神経系の異常として脊髄後索(せきずいこうさく)障害(深部感覚低下)、小脳性運動失調、腱反射(けんはんしゃ)消失、筋力の低下や多発性ニューロパチーなども知られています。

そのほかに、抗酸化作用の低下によると考えられる白内障(はくないしょう)、不妊や習慣性流産も報告されています。

治療の方法

ビタミンEの1日所要量は成人で7~8㎎ですが、大量の不飽和脂肪酸を摂取している場合は、より大量の摂取が必要になります。また、無βリポ蛋白血症の患者さんの場合は、体重1㎏あたり100㎎の連続投与が必要です。

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