病気事典[家庭の医学]

せいちょうほるもんぶんぴつふぜんせいていしんちょうしょう

成長ホルモン分泌不全性低身長症

成長ホルモン分泌不全性低身長症について解説します。

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どんな病気か

小児期までに下垂体からの成長ホルモンの分泌が障害されて起こる低身長症(小人症)をいいます。成長ホルモンの分泌のみがよくない場合と、他のホルモンの分泌障害を伴う場合があります。

成長ホルモン以外の下垂体ホルモンの分泌も障害されている場合は、低身長と併せて性機能の発育が障害されることが多く見受けられます。

原因は何か

成長ホルモンの分泌のみがよくない場合は、家族性に生じる遺伝によるものと、散発性に生じるものがあります。成長ホルモン以外の下垂体ホルモンの分泌も障害されている場合は、原因の明らかでない特発性と下垂体の異常が特定できるものに分けられます。

特発性には周産期の視床下部(ししょうかぶ)や下垂体(かすいたい)、下垂体茎(けい)の障害が示唆されています。下垂体の形成不全や脳腫瘍(のうしゅよう)、脳の炎症、外傷などが原因で起こることもあります。

症状の現れ方

出生時の身長、体重は正常ですが、徐々に成長の遅れが目立ちます。骨の発達が遅れ、いわゆる骨年齢が低下しています。脳腫瘍などが原因の場合では、病気の発病とともに成長が障害されてきます。他のホルモンの分泌障害を伴う場合では、そのホルモンの欠落症状が生じます。たとえば、性腺ホルモンが障害されると、体形が幼いままであり、男子では声変わりや射精がなかったり、女子では月経がこなかったりします。

また、ストレスに反応して血糖などを上げる作用のあるホルモンが脱落すると低血糖を来し、意識が低下することもあり注意が必要です。

検査と診断

受診時に、母子手帳と小中学校の成長記録を持参してください。まず、手のX線写真により骨の年齢を調べます。下垂体性の低身長症では身長年齢とほぼ一致します。また、成長ホルモンの分泌の異常を調べる検査があります。たとえば、成長ホルモン分泌を刺激する検査を行い、血中の成長ホルモンを測ります。

均整のとれた体形で平均身長のマイナス2SD(標準偏差)以下、骨年齢の遅延、分泌刺激試験による成長ホルモンの低反応、夜間尿中成長ホルモン濃度、インスリン様成長因子などの結果により診断します。成長ホルモン以外のホルモンの障害についても、下垂体ホルモンの測定やホルモン刺激試験を行います。

治療の方法

成長ホルモンによる治療を行います。週6~7回に分けて(自己)注射により投与されます。ほかに成長の促進を助けるために、少量の副腎皮質ステロイド薬や甲状腺ホルモン薬を併用することもあります。成長ホルモン以外の下垂体ホルモンの低下についても、併せて治療することがあります。

脳腫瘍などが原因の場合は、それに応じた原疾患の治療を行います。

病気に気づいたらどうする

小児の下垂体性の成長ホルモン分泌不全性低身長症は、成長ホルモンによる治療の効果が期待されます。しかしながら時期を逸すると治療が難しくなりますので、少なくとも小学校低学年までに内分泌専門医を受診して、治療について判断されることが望ましいと思います。

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