病気事典[家庭の医学]
やくぶつによるしんけいしょうがい
薬物による神経障害
薬物による神経障害について解説します。
執筆者:
神経内科津田沼神経研究所所長/東邦大学名誉教授
栗原照幸
原因は何か
服用している薬が何かをリストアップして、そのなかに神経障害を起こすものがないかどうか確認します。神経障害を来す薬を中止すれば、多くの場合神経症状もよくなるので、薬の副作用と考えられます。
症状の現れ方
服用している薬の量や期間によって障害を起こしやすい神経系の部位があります。神経系のどの部位が損なわれるのかにより症状が異なります。個人差もあるので、ある薬が必ず副作用を起こすということではありません。
神経系副作用としては、末梢神経障害(手足のしびれ感や四肢末梢(ししまっしょう)の脱力)、小脳症状(バランスがとれない、ろれつ不良)、骨格筋の障害(横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)により筋力低下、高クレアチンキナーゼ(CK)血症)、大脳基底核(だいのうきていかく)の障害(パーキンソニズム:振戦(しんせん)、固縮、動作緩慢(かんまん))が薬物の使用とともに現れることがあります。
検査と診断
どの薬が神経系のどの部位を損ないやすいのかを、表11に例示します。薬物の数は大変多いので、すべての薬物についてこの表に示すことはできません。
神経系の障害部位によって適切な検査を選ぶことになります。末梢神経伝導速度検査、血液検査、MRI検査などがあり、診断に役立ちます。
治療の方法
神経障害が起こっているならば、まず投与している薬を減らしたり、中止する必要があります。次に対症的にビタミン補給を行ったり、神経障害を改善するような治療が行われます。
原疾患の治療はやめるわけにはいかないので、神経障害を来さない薬物を選ぶことが大切です。
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情報提供元 :
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