病気事典[家庭の医学]
あぱしーしょうこうぐん
アパシー症候群
アパシー症候群について解説します。
執筆者:
淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授
丸山 晋
アパシー症候群の解説(コラム)
アパシーとは無気力、無関心を意味する外国語です。ちなみにシンパシーは共感を意味します。この言葉がいわれ出したのは、1970年代の後半、若者による学園紛争が一段落したころ、キャンパス内で「しらけ」といった現象が出現し、ミーイズム(自己中心性)がはびこり出した時期と一致します。「五月病(ごがつびょう)」のなかにも、これと重なるものがあります。
その発生は一種の「虚脱(きょだつ)状態」として説明されています。受験競争を勝ち抜いた戦士が、次の目標を見いだしかねて、無気力におそわれるといった筋書きです。なかには不登校や引きこもりに陥る人も多くいます。
このように説明すると、状況の結果やむをえない状態といえそうです。しかしよく観察すると、このような状態に陥る人たちは、ハングリー精神に欠けている、価値の多様性に対応できない、甘えや依存心が強いなどといった面を、以前からもっているといわれています。したがって治療は、こうした弱点を克服・補強する視点で考えられるべきです。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。