病気事典[家庭の医学]
ふめいねつ
不明熱
不明熱について解説します。
執筆者:
東京慈恵会医科大学感染制御部 加藤哲朗
東京慈恵会医科大学客員教授 柴 孝也
不明熱の解説(コラム)
不明熱とは、古典的には38・3℃以上の発熱が3週間以上続き、1週間の入院検査でも診断がつかないものと定義されています。しかし、実際には原因疾患の特定が困難な高熱疾患の意味合いで使用されていることもあります。
不明熱の主な原因としては、感染症、悪性腫瘍、膠原病(こうげんびょう)およびその類縁疾患の3つがあげられます。感染症では、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)や肺外結核などの結核菌感染症、感染性心内膜炎、EBウイルスやサイトメガロウイルス感染症、そして肝臓や骨盤内の膿瘍(のうよう)などが重要です。また近年HIV感染症が不明熱の原因として発見されることもあります。悪性腫瘍では、ホジキン病を含む悪性リンパ腫のほか、腎細胞がん、大腸がん、肝細胞がんなどが不明熱の原因となることがあります。膠原病のなかでは成人型スティル病、血管炎症候群などがあります。そのほか、クローン病などの炎症性腸疾患、サルコイドーシスなどの肉芽種(にくげしゅ)性疾患、薬剤熱、血腫、内分泌疾患などが原因となることがあります。
不明熱の原因検索には、一般的な病歴聴取に加えて生活歴や旅行歴、薬剤内服歴などの詳細な問診のほか、ていねいな診察と画像検査や血清検査を含む臨床検査が重要になります。
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情報提供元 :
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