病気事典[家庭の医学]
ろたういるすげりしょう
ロタウイルス下痢症
ロタウイルス下痢症について解説します。
執筆者:
藍野大学藍野健康科学センター特任教授
牛島廣治
どんな感染症か
ロタウイルスによる感染症で、乳幼児の代表的な冬期下痢症として、主に1~4月に発症します。ほとんどの子どもが感染し、保育所・幼稚園・学校などで集団発生することもありますが、多くは感染経路が明らかではありません。
症状の現れ方
突然、嘔吐あるいは下痢から始まります。便が白色になることがあります。通常1週間以内で下痢は軽快します。発熱、呼吸器症状を伴うこともあり、下痢の回数が多いと脱水症状が現れ、治療が必要です。
まれですが、けいれん、脳症、腸重積(腸管の一部が腸管腔内に入り込む)を伴うことがあります。
検査と診断
乳幼児で1~4月の下痢症の場合には、ロタウイルスによる下痢症を考えます。11~1月ではノロウイルス感染症が多くみられます。学童・成人では、ウイルス以外に細菌性のことも考えておきます。
イムノクロマト法を利用した迅速診断検査薬で、10~20分以内に診断ができます。また、酵素抗体法を用いることもあります。
ロタウイルスにはA、B、C群があります。A群以外は頻度は少ないものの、一般の検査試薬では検出できません。
脱水の状態は、排尿があれば尿中のアセトン体の有無および量で推定しますが、血液中の電解質を調べることがあります。
治療の方法
嘔吐に対しては鎮吐薬(ちんとやく)を使用します。経口摂食が可能であれば、少量で回数を多くした食事が原則です。経口補液を行うこともあります。経口での摂食が不可能な場合、あるいはその危険性がある場合は経静脈輸液を行います。
止痢薬(しりやく)は原則として使わず、ラックBやビオフェルミンなどの生菌製剤を用います。ワクチンは現在、海外では使用されていますが、日本では臨床試験が行われています。
症状がある場合には、トイレ等での石鹸、流水での手洗いが必要です。
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情報提供元 :
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