病気事典[家庭の医学]
ばるとりんせんえん
バルトリン腺炎<感染症>
バルトリン腺炎<感染症>について解説します。
執筆者:
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科客員教授
川名 尚
どんな感染症か
バルトリン腺は、腟の入口の後方に位置する左右一対の腺で、性行為を滑らかにするための液を分泌しています。その排泄管の長さは約2㎝で、処女膜の側方に開口しています。この腺に、ブドウ球菌、淋菌(りんきん)、バクテロイデス、クラミジア・トラコマチスなどが感染して炎症を起こす病気です。
症状の現れ方
急性期には排泄管に炎症が起こり、開口部が発赤してはれ、痛みが現れます。炎症によって排泄口が閉鎖されると、うみが排泄管内にたまって、圧痛(押すと痛い)のある膿瘍(のうよう)になります(バルトリン腺膿瘍)。
この膿瘍は、小陰唇後方の4時または7時の位置にでき、触るとわかります。急性期を過ぎると慢性化します。
また、最初から急性期がないまま、排泄管の閉鎖によって分泌液がたまり、小指から親指の先くらいの大きさの嚢胞(のうほう)ができることがあります(バルトリン腺嚢胞)。この場合は、歩行や性交時の軽い痛み程度で、自発痛(何もしていないのに感じる痛み)や圧痛はあまりありません。
治療の方法
急性期では、抗生物質の全身投与、局所の湿布で治ります。膿瘍を形成した場合は、切開してうみを出します。
慢性化して嚢胞ができた場合は、排泄口をつくる手術を行いますが、再発を繰り返す場合は、バルトリン腺嚢胞摘出術も行われます。
病気に気づいたらどうする
腟の入口のところに腫瘤があり、押すと痛むようなら産婦人科を受診してください。圧痛がなくても時々痛くなったり、外陰部に違和感がある時は手術をしておいたほうがよいでしょう。
感染症で処方される主な薬剤を探す
感染症の項目を読んだ人によく読まれている記事
感染症でよく読まれている病気解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。