病気事典[家庭の医学]

ふえているふうにゅうたいけつまくえん

増えている封入体結膜炎

増えている封入体結膜炎について解説します。

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増えている封入体結膜炎の解説(コラム)

 泌尿生殖器からクラミジアが感染する結膜炎で、現在増加しつつあり、注目を集めています。成人型封入体結膜炎と新生児封入体結膜炎があり、最近では両者を併せて「クラミジア結膜炎」とも呼んでいます。

成人型封入体結膜炎

 感染している人の泌尿生殖器から、手指などを介して発症する結膜炎で、20〜30代の成人がよくかかります。結膜に小さなぶつぶつができる急性濾胞性結膜炎(ろほうせいけつまくえん)や、耳前リンパ節のはれや圧痛(押すと痛い)が現れます。眼脂(がんし)(めやに)は粘液膿性です。多くは、結膜炎と同時に上咽頭や泌尿生殖器のクラミジア感染を合併します。

 結膜の組織をこすりとった標本で、クラミジアの封入体を認めれば診断が確定されます。蛍光(けいこう)抗体や酵素抗体による抗原検出も、迅速な病因診断法です。治療はオフロキサシンの眼軟膏を塗布します。

新生児封入体結膜炎

 子宮頸管(けいかん)にクラミジアが感染している母親から生まれる時の産道感染によって発症します。現在、新生児結膜炎の10%を占めるといわれています。

 潜伏期間は5〜12日で、まぶたのはれや結膜の充血、粘液膿性の眼脂などが現れます。眼瞼結膜はビロード状になり、偽膜(ぎまく)を形成することが多く、生後1週間前後で発症する偽膜性結膜炎を特徴とします。

 成人型と異なり、濾胞形成や耳前リンパ節のはれはみられません。約半分のケースに上咽頭のクラミジア感染が起こり、時に肺炎に進展することがあるので注意が必要です。

 成人型と同じく、結膜の組織をこすりとった標本でクラミジアの封入体を認めれば診断確定で、蛍光抗体や酵素抗体による抗原検出も迅速な病因診断法です。治療も同じく、オフロキサシンの眼軟骨を塗布します。

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