病気事典[家庭の医学]
りんきんによるけつまくえん
淋菌による結膜炎
淋菌による結膜炎について解説します。
執筆者:
近畿大学医学部眼科学主任教授 下村嘉一
淋菌による結膜炎の解説(コラム)
淋菌による結膜炎(淋菌性結膜炎)は、性行為感染症(STD)のひとつです。感染した人との性行為や、感染した女性が出産する時に胎児に感染(産道感染)します。結膜炎発症までの潜伏期間は1〜3日ですが、早期破水のある時は、より早い時期に発症します。高齢者ほど重症になりやすいといわれています。
大部分が両眼性です。化膿度が非常に強く、大量の膿性クリーム状眼脂(がんし)(めやに)が特徴で、うみが閉じた目からあふれ出てくることが多いようです。極度の結膜充血や結膜浮腫(むくみ)も現れます。時に、角膜穿孔(かくまくせんこう)(穴があく)を起こす角膜潰瘍を合併することがあり、最も重い結膜炎のひとつです。
なお、髄膜炎菌(ずいまくえんきん)による結膜炎も淋菌によるものと似ていますが、これは菌が髄膜など全身に広がるのが特徴です。
検査は、眼脂の培養を行い、病原菌の検索と薬剤の感受性試験を行うことが基本ですが、病状から類推することが可能です。
治療は、ペニシリン系抗生物質が第一選択薬です。近年、ペニシリン耐性(薬が効かない)の淋菌が増加しているので、注意が必要です。
病気に気づいたら、必ず眼科専門医を受診してください。
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