病気事典[家庭の医学]
あとぴーせいひふえんによるめのびょうき(はくないしょうともうまくはくり)
アトピー性皮膚炎による眼の病気(白内障と網膜剥離)
アトピー性皮膚炎による眼の病気(白内障と網膜剥離)について解説します。
執筆者:
和歌山県立医科大学名誉教授 大西克尚
どんな病気か
アトピー性皮膚炎は、皮膚がかゆくなり、赤くなる病気です。この病気に伴って、眼にも結膜炎、まぶたの皮膚炎、円錐角膜(えんすいかくまく)、ぶどう膜炎などが現れますが、ここでは主に白内障と網膜剥離について述べます。
白内障はカメラでいえばレンズがにごってくる病気で、網膜剥離はフィルムの膜面がはがれてくる病気です。
原因は何か
アトピー性皮膚炎の本当の原因はわかっていませんが、アトピー性素因をもっている人がこの病気になります。
アトピー性皮膚炎に伴う白内障の原因として、水晶体蛋白(すいしょうたいたんぱく)に対する免疫説、ステロイド薬の副作用説などが考えられていますが、眼のまわりがかゆいために、そこを手でたたくことが白内障の誘因になっているようです。
症状の現れ方
アトピーに伴う白内障は、20歳前後の若い人の両眼にみられます。視力が低下して気づきますが、進行の程度は人さまざまです。
網膜剥離も若い人に現れますが、普通の網膜剥離と違って網膜の最周辺(中心から離れたところ)に孔(あな)があり、進行も遅く、自分で気がつかないことが多いので、眼科で定期的な眼底検査を受け続けることが必要です。
検査と診断
白内障は、細隙灯(さいげきとう)を用いた眼科用の顕微鏡で検査して診断します。瞳孔(どうこう)を薬で開いて検査すると、水晶体が広範囲に観察できます。白内障が進行していて眼底検査ができない時は、超音波検査や網膜電図を測定し、網膜の状態を類推します。
網膜剥離の多くは、眼底検査で診断できます。視力が低下していないかどうかを検査し、視野検査で網膜剥離の広さを記録します。十分に眼底が検査できない時は、超音波検査や網膜電図の測定を行います。最も重要なことは、眼底検査で網膜の裂孔(れっこう)の位置を明らかにすることです。これは治療法を決定する時に必要です。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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