病気事典[家庭の医学]
こうかんせいがんえん
交感性眼炎
交感性眼炎について解説します。
執筆者:
宇治武田病院眼科部長
河本知栄
兵庫県立尼崎病院眼科部長
喜多美穂里
どんな病気か
ぶどう膜が損傷するような外傷を受けた人のなかで、受傷したほうの眼だけでなくその反対の眼にも炎症が起こることがあります。両眼の視力低下を来すため、古くから恐れられている疾患です。まれに手術後に起こることもあります。
原因は何か
色素細胞が、外傷をきっかけに免疫系にさらされることにより、色素に富んだぶどう膜に対する自己免疫反応が起こると考えられています。色素細胞に対する自己免疫反応という意味では、原田病と同じ病態であり、経過も似ていますが、外傷がきっかけになる点で区別されます。
検査と診断
原田病と同様に蛍光(けいこう)眼底造影検査や髄液(ずいえき)検査が重要です。血液検査では、白血球の増多、赤沈の亢進、CRP陽性化などの炎症性の反応がみられます。また、白血球の血液型である組織適合抗原(HLA)のなかで、DR4あるいはDR53をもった人によく発症することも原田病と同様です。
治療の方法
原田病の治療に準じて、ステロイド薬の大量点滴あるいはパルス療法が行われます。免疫抑制薬が使われる場合もあります。穿孔性(せんこうせい)(孔(あな)があく)の眼の外傷を受けた人で、遺伝的素因がある場合(HLA‐DR4、DR53など)には、十分な経過観察が必要です。
受傷した眼の視機能の回復がまったく期待できない場合には、本症の発症を予防するために、受傷した眼球を摘出することもあります。
関連項目
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。