病気事典[家庭の医学]

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HLA−B27と体の病気

HLA−B27と体の病気について解説します。

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HLA−B27と体の病気の解説(コラム)

 HLAとは白血球の血液型で、赤血球の血液型と同様、遺伝的に決まっています。このなかで、HLA‐B27という血液型が、強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)、ライター症候群(反応性関節炎)、乾癬性(かんせんせい)関節炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎の4つの疾患に高率にみられることがわかっています。

 しかもこの4つの疾患は、これ以外にも共通する特徴があります。それは末梢関節炎とともに仙腸(せんちょう)関節炎・脊椎炎を伴い、血清中のリウマトイド因子が陰性になることです。そこで、これら4疾患を「血清反応陰性脊椎関節症」、「HLA‐B27関連脊椎関節症」と呼ぶことがあります。皮膚や眼の症状、消化器の症状、大動脈弁閉鎖不全症(だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう)など共通する合併症もみられます。

 日本での有病率は0・0095%で、欧米白人の1・9%に比べると著しく低く、男女比は3・3対1、平均年齢は38・7±15・6歳です。

 発症から診断までにかかる期間は平均5・8±7・8年と長く、これらの病気に対する医師の理解がまだ乏しいことがうかがわれます。

 世界での統計や動物実験などをみると、HLA‐B27そのものが病気の発症に関わっているようです。反応性関節炎や強直性脊椎炎では微生物の関与が考えられており、HLA‐B27陽性の細胞では細菌が細胞内に長期間存在し、細胞の炎症を促したり、抗原を体内に散布しているとも考えられています。

 このように、HLA‐B27関連脊椎関節症は遺伝因子と環境因子(微生物感染)とが関連して起こる病気と考えられており、自己免疫疾患の発症や治療を考えるうえで重要な手がかりを与えるものとして注目を集めています。

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