病気事典[家庭の医学]
ひとあじゅばんとびょう
ヒトアジュバント病
ヒトアジュバント病について解説します。
執筆者:
慶應義塾大学医学部リウマチ内科准教授
桑名正隆
ヒトアジュバント病の解説(コラム)
異物を挿入する美容形成手術後に、膠原病(こうげんびょう)あるいはそれに類似した症状を示す病気のことです。ほとんどはシリコンやパラフィンを直接注入する豊胸術の実施から10年以上たって、発症します。バッグに密封したシリコンを挿入する方式に変更されて以降、本症の発症はほとんどなく、新たに診断される患者数は減っています。
強皮症(きょうひしょう)、全身性(ぜんしんせい)エリテマトーデス、関節(かんせつ)リウマチと区別のつかない場合もありますが、多くは関節炎(かんせつえん)、筋肉痛、紅斑(こうはん)、発熱、炎症反応の上昇があるにもかかわらず、膠原病としては非典型的な症状を示します。
治療は異物除去を優先しますが、それのみで治癒することはまれです。異物が体内に分散して完全に取り除くことができない場合も多く、多くの例で副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬(プレドニン)による治療が必要になります。
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