病気事典[家庭の医学]
ふくじんいんしでんたろーま(ふくじんぐうはつしゅ)
副腎インシデンタローマ(偶発腫)
副腎インシデンタローマ(偶発腫)について解説します。
執筆者:
弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学助教
崎原 哲
副腎インシデンタローマ(偶発腫)の解説(コラム)
胃腸、肝臓、腎臓など、腹部の病気で画像検査(超音波、CT、MRIなど)を行った時、偶然、副腎に腫瘍(しゅよう)が発見されることがあります。このように偶然、副腎に見つかった腫瘍を、副腎インシデンタローマ(偶発腫)といいます。近年、画像検査機器の精度が高くなり、小さな腫瘍も明瞭に描出できるようになったため、本疾患の発見頻度が増えています。
偶然発見されたものは、すべてインシデンタローマと呼ばれるので、そのなかにはさまざまな病気が含まれます。精密検査で詳しい性状を診断して、適切な対処方法を決めなければなりません。
副腎腫瘍の多くは良性ですが、大きな腫瘍の場合は悪性(=がん)の可能性が高まるので摘出手術が必要になります。
一方、良性だとしても安心してよいわけではなく、ホルモンを過剰に産生する場合は、治療が必要となる場合があります。
副腎はさまざまなホルモンを産生する臓器ですので、そこにできる腫瘍も、しばしば何らかのホルモンを産生しています。とくに、コルチゾールというホルモンを少しずつ産生する腫瘍の場合、目立った症状を引き起こすことがなくとも、数年かけて高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などを引き起こす可能性があります。この状態は、サブクリニカルクッシング症候群と呼ばれ、手術が必要とされています。
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情報提供元 :
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