病気事典[家庭の医学]

きゅうせいぼうこうえん

急性膀胱炎

急性膀胱炎について解説します。

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どんな病気か・原因は何か

一般に、膀胱炎といえば急性膀胱炎のことを指します。

膀胱炎のほとんどは、尿道から侵入した細菌の感染が原因で起こり、その多くは大腸菌によるものです。

女性は男性と比較して尿道が短く、肛門や腟が尿道から近いところにあるため不潔になりやすく、細菌が侵入しやすいという特徴から、とくに女性に起こりやすい病気です。誘因としては、長時間トイレをがまんする、性行為、過労などによる抵抗力の低下、ストレスなどがあげられます。

細菌以外の原因としては、ウイルス感染、放射線、薬剤によるものなどがありますが、頻度はそれほど多くありません。

症状の現れ方

突然の頻尿(ひんにょう)、排尿時の痛み、とくに排尿終了時の強い痛み、尿の混濁が現れ、残尿感、下腹部痛、尿失禁、血尿などを伴うことがあります(表23)。一般に発熱は伴わず、高熱や腰痛が現れた場合には、腎臓にまで炎症が及んでいる可能性があります(腎盂腎炎(じんうじんえん))。

検査と診断

尿に混濁がみられ、尿検査では膿尿(のうにょう)・細菌尿(尿中に白血球・細菌が混入したもの)が認められます。通常、血液検査やX線検査では異常は認められず、臨床症状と尿検査から診断されます。

治療の方法

抗菌薬(セフェム系やニューキノロン系など)を3日~1週間程度内服します。通常は、1週間以内に症状が改善します。また、治療中は十分な水分摂取を心がけ、尿量を増やすようにします。

病気に気づいたらどうする

水分を十分摂取して尿量を増やすようにし、過労やストレスを避けます。症状が長く続く時や繰り返す時、血尿が続く時、発熱を伴う時などには、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、前立腺がん膀胱結石、膀胱腫瘍、尿道の狭窄(きょうさく)、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)、膀胱異物など泌尿器科的な疾患が隠れていることもありますので、泌尿器科を受診してください。

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