病気事典[家庭の医学]
尿の量が異常
執筆者: 昭和大学横浜市北部病院院長 田口 進
尿・排尿の異常
尿は腎臓(じんぞう)でつくられています。腎臓に入ってきた血液を濾過(ろか)し、体に不要な老廃物を水といっしょに「尿」として排泄しています。しかし、何らかの原因で体に異常が起こると、尿の性状(色やにおいなど)や尿の量が変化したり、排泄のメカニズムに支障が起こることがあります。
腎臓は肝臓と同様、沈黙の臓器と呼ばれ、なかなか症状を表に現しません。それだけに早期発見が重要となり、日々、尿の性状や量を観察し、排尿に異常がないかなどに気を配っておきたいものです。
尿量の異常から考えられる主な病気
主な症状と、付随する症状から、疑われる病気を調べることができます。
病気名を選択すると、その病気の解説へ遷移します。
多尿
乏尿・無尿
- [ご利用上の注意]
- 一般的な医学知識の情報を提供するもので、皆様の症状に関する個別の診断を行うものではありません。気になる症状のある方は、医療機関にご相談ください。
尿の量が多い・少ない
1日の尿の量は、健康な成人で約0・8~1・5lとされています。尿の量が多すぎたり、少なすぎたりする時、何らかの病気が疑われます。
多尿
一般に、1日の尿の量が3l以上の場合を多尿(たにょう)といいます。水の摂取量が多くて多尿になっているのでなければ、腎臓での水の保持機能の不全が原因と考えられます。多尿を起こす病気の代表は尿崩症(にょうほうしょう)。突然、多尿とのどの乾き、それによる多飲が起こります。1日の尿量は3l以上となり、夜間でも減少しません。
乏尿、無尿、尿閉
1日の尿量が0・4l以下を乏尿(ぼうにょう)といい、0・1l以下を無尿といいます。
乏尿とは、膀胱内への尿の排泄量が減少している状態、ただし体外へ排出された尿量が少ないだけでは乏尿とはいいません。無尿は、乏尿がさらに進んだ状態です。尿道の閉塞などで尿が膀胱から排泄できない場合を尿閉と呼び、無尿とは区別します。
乏尿・無尿は腎臓の病気で起こってきます。急性腎不全は腎臓の機能が急激に低下して大変危険な状態ですので、乏尿・無尿がみられたらすぐに受診してください。