病気事典[家庭の医学]

たんじゅんきんしとへんせいきんし

単純近視と変性近視

単純近視と変性近視について解説します。

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どんな病気か

単純近視は、眼鏡をかければ視力が1・0以上得られ、視野(見えている範囲)にも異常がない近視をいいます。変性近視は病的近視ともいい、眼鏡をかけても視力が1・0未満しか出ないか、視野に異常が出る近視をいいます。

一般に近視の程度が強くなると、変性近視になる確率が高くなります。日本人ではマイナス8D(ディオプター)以上の強度近視では、変性近視になりやすいと報告されています。

原因は何か

変性近視で視力が低下する理由は、網膜剥離(もうまくはくり)、緑内障(りょくないしょう)、白内障(はくないしょう)、黄斑変性(おうはんへんせい)などがあります。強度近視は眼軸(がんじく)(眼の奥行き方向の長さ)が長くなり、結果として網膜が薄くなります。したがって網膜剥離が起きやすく、また網膜の下に亀裂(きれつ)が入って脆弱(ぜいじゃく)な血管(新生血管(しんせいけっかん))を生じ、黄斑出血が起こって重篤な視力低下が起きることもあります。また、加齢に伴って黄斑部が萎縮(いしゅく)し、視力が低下する場合もあります。

症状の現れ方

変性近視は、中年以降に発症することが多く、眼鏡で矯正(きょうせい)しても視力が出ない場合は注意する必要があります。とくに黄斑変性の初期には、物がゆがんで見える症状が出るので、片目ずつ見て、見え方に変化がないか確かめる必要があります。

検査と診断

網膜剥離黄斑変性は、眼底検査で診断されます。緑内障は視野検査で、白内障は細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査で診断されます。

治療の方法

眼軸長の延長を止める治療法は、現在のところありません。白内障網膜剥離による視力低下は、手術により回復させることが可能です。強度近視に伴う緑内障は眼圧(眼の圧力)が高い場合は点眼薬で治療しますが、眼圧が正常である場合は、循環改善薬の内服薬などが処方されます。新生血管が生じて黄斑出血が起こった場合、初期には抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体の硝子体内投与が有効です。

病気に気づいたらどうする

強度近視の人で、眼鏡を替えても視力が出にくくなった場合は、変性近視が始まっている可能性があるので、早めに眼科を受診してください。

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