病気事典[家庭の医学]

こうやくせいにゅーろぱちー

絞扼性ニューロパチー

絞扼性ニューロパチーについて解説します。

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絞扼性ニューロパチーの解説(コラム)

 圧迫性ニューロパチーの一種で、「絞扼」とは「締めつける、締めつけられる」という意味です。

 骨、腱などに囲まれた狭い場所を走る神経幹は、圧迫の機序(仕組み)が加わると逃げ場がなくなり、圧迫による損傷を受けやすくなります。代表的なものに、手根管部(しゅこんかんぶ)で正中神経が圧迫される手根管(しゅこんかん)症候群があります。中年以降の女性に圧倒的に多く発症し、晩秋、早春などの冷え込みが強まると、手指先端の痛み、しびれ、感覚の低下が現れ、早朝に強く、睡眠を妨げられることが特徴です。片側だけでなく、両側でみられることもあります。

 手根管症候群の半数は原因不明ですが、血液透析(とうせき)患者、妊娠中、糖尿病、甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)や関節リウマチによる手関節の変形などさまざまな原因で現れます。母指球筋(ぼしきゅうきん)(親指の付け根にある筋)などの萎縮(いしゅく)で、手の筋力低下が現れたり、激しい痛みがあったり、感覚が完全になくなった時には、圧迫部位の開放手術が整形外科で行われます。

 肘管(ちゅうかん)症候群は、上腕骨骨折などで肘(ひじ)の伸びが不十分になると、腱膜が過度に引っ張られ、その下を走る神経幹が伸びた状態となり圧迫されます。また、骨折は肘関節を変形させ、周囲組織を瘢痕化(はんこんか)し、神経幹を絞扼することになります。尺骨(しゃっこつ)神経障害が進み、筋力が低下する場合は、肘管の開放、神経移行術など外科的手術を行うことになります。

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